ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#807
野口五郎 7タイトル復刻<タワーレコード限定>
'74 GORO IN KOKUSAI -こころの叫び(PROT-1172)・'74 GORO in SUNPLAZA ~甘い生活~(PROT-1174)☆・GORO ON STAGE ひとりぼっちの栄光(PROT-1176)☆・GORO! LOVE STREET IN LONDON 雨のガラス窓 +2(PROT-1178)・GORO IN NISSEI THEATRE -野口五郎 日生劇場特別リサイタル- +5(PROT-1179)☆・'78 野口五郎 日生劇場 特別リサイタル +4(PROT-1183)☆・風に舞う花びら 野口五郎演歌の世界(PROT-1187)
*2016.7.27発売(雨のガラス窓のみ9.28に延期) 各¥2,200+税/☆2枚組:¥2,572+税、タワーレコード限定

ゴローのタワレコ復刻、今回はオリアル&ライブ!

 1971年に15歳でデビューしてから、今年でちょうど45年。めでたく還暦も迎えた野口五郎さん。
 
 昨年からデビュー45年祭と題して活発な活動を続け、2月のバースデイにはお楽しみ満載のアニバーサリーアルバム( こちらで紹介)もリリース。あくまで現役バリバリ、ますます意欲的な感じがしてウレシイ限りですが、タワレコ限定旧譜復刻の方も1年半ぶりに続編がアナウンスされました!
 
 ご存じタワレコ良盤発掘隊・Tower To The Peopleでのゴロー復刻( こちらこちらこちらこちらこちらで紹介)ですが、今回新たにラインアップされるアルバムは、企画物とオリジナルのスタジオ録音2作「 風に舞う花びら 野口五郎演歌の世界<タワーレコード限定>」「 GORO! LOVE STREET IN LONDON 雨のガラス窓 +2<タワーレコード限定>」に、ライブ5作「 '74 GORO IN KOKUSAI -こころの叫び-<タワーレコード限定>」「 '74 GORO in SUNPLAZA ~甘い生活~<タワーレコード限定>」「 GORO ON STAGE ひとりぼっちの栄光<タワーレコード限定> 」「 GORO IN NISSEI THEATRE -野口五郎 日生劇場特別リサイタル- +5<タワーレコード限定> 」「 GORO IN NISSEI THEATRE -野口五郎 日生劇場特別リサイタル- +5<タワーレコード限定> 」という7タイトル。うち6タイトルが初CD化という、レアなコレクションとなっています。
 
  これまでは、ゴローのフュージョンやAOR、ソフトロックなどの一面をクローズアップしたアルバムがチョイスされてきましたが、今回は真骨頂のステージが堪能できるライブ盤が中心となっていますし、オリアルを含め、パブリックイメージのドメスティックな歌謡曲ゴローと、ショウビズシンガーとしての才能をいかんなく発揮するエンターティナーとしての魅力が存分に味わえそうな感じです。
 
 まずオリジナルアルバムは、74年12月リリースの企画盤「 風に舞う花びら 野口五郎演歌の世界<タワーレコード限定>」。文字通りゴローが演歌を歌うという内容です。
 最初は演歌デビューだったゴローですので、至極まっとうな企画であることに違いないのですが、当時は筒美京平作品「甘い生活」がゴロー初のオリコン1位を記録した頃。その飛ぶ鳥を落とす時期に、ヒットシングルとは関係ないアルバムを発売したことを大いに称えたいと思いますが、ゴローの歌の上手さ、本物の歌唱力を実感できること請け合い。
 
 デビュー曲の「博多みれん」やお兄さん作曲のタイトル曲をはじめ馬飼野俊一さんらが書き下ろしたオリジナル演歌ナンバーに加え、殿様キングスの「なみだの操」から、森進一「命かれても」「年上の女(ひと)」「冬の旅」、五木ひろし「夜空」、そして古賀メロディーのディック・ミネ「人生の並木道」といったヒット演歌のカバーを収録。
 新御三家きっての歌唱力を持つゴローだけに、歌番組では演歌もよく披露していましたし、演歌歌手からも高く評価され可愛がられていましたから、まさに本領発揮の企画アルバムといえるでしょう。
 
 そして筒美京平フリーク必聴、21年ぶりの再CD化となる75年作品「 GORO! LOVE STREET IN LONDON 雨のガラス窓 +2<タワーレコード限定>」。
 デビュー5周年記念のロンドン録音で、お兄さんが2曲を手がけているほかはすべて筒美先生が作曲、しかも全曲アレンジも担当と、先生の大のお気に入りだったことが分かるアルバム。当時全盛だったフォークへのアプローチを、ロンドンのミュージシャンたちと行ってしまうという豪華盤。
 作詞は山上路夫さんで、コンセプチュアルなストーリーアルバムとしてもファン人気は高いと思います。
 なお、この時、同時にレコーディングされながらアルバムには未収録となったシングル「夕立のあとで/遠い夏」も、今回はボーナストラックとして追加収録。まさにゴロー・イン・ロンドンの完全版ですし、最新リマスタリングが施されるそうなので、Q盤・CD叢書を持っている方も買い換え決定ではないでしょうか。
 
 一方、ライブ盤は72年の杉並公会堂「GORO ON STAGE/日本縦断コンサート」や73年の故郷・岐阜県での「GORO ON STAGE 2/野口五郎故郷に帰る」からではなく、74年2月開催の国際劇場リサイタル「 '74 GORO IN KOKUSAI -こころの叫び-<タワーレコード限定>」から。
 
 初期は時代的にどうしても歌謡ショー的な雰囲気が強いので、ファン以外はなかなか厳しいかもしれませんが、1つの音楽作品として鑑賞できるのは、やはり74年11月開催の中野サンプラザ「 '74 GORO in SUNPLAZA ~甘い生活~<タワーレコード限定>」からでしょう。
 ここから2枚組でのリリースとなりますが、特筆津べきは東海林修先生が音楽監督に就任したこと。
 先生によってゴローのステージングは完成し、日本が誇るポピュラーミュージックの騎手、一流のエンターティナーとして、どんどん大成していったように思いますが、ここからのライブ盤にはその様子さえくっきりと刻まれているように思います。
 
 あと、新御三家全員のライブを実際に見た身として強い印象に残っているのは、ゴローのバヤイは客席のマナーが特によかったこと。
 当時のファン層の中でも従姉妹に連れられて見に行ったワタシは明らかに子どもだったので、とっても親切にされたことも大きいかもしれませんが、ホントに好印象。ゴローのファンは黄色い声援を送るところと、しっかり聴くところがちゃんと区分けされていて、聞き分けがよいというか皆さんきちんとしたお家のお嬢さんであろう雰囲気が感じられたのです。
 そういう意味でも、ゴローのライブ盤は御三家の中で最も良い形で録音できたのではないかと思っています。
 
 ところで、ゴローといえば新御三家を牽引し、その人気を不動のものにした立役者でありますが、自身の人気のピークはオリコン1位を連続した75年の頭から、新御三家初のグランプリ(日本テレビ音楽祭)に輝いた76年あたりだったでしょうか。
 
 そのトップとしての風格が感じられるのが75年のNHKホール「 GORO ON STAGE ひとりぼっちの栄光<タワーレコード限定> 」で、洋楽カバーにミニミュージカルといった構成もさることながら、カックラキン大放送のエンディング替え歌にもなる「哀しみのソレアード」や圧巻の「ゴロー・ヒットメドレー」など聴きどころ満載です。
 
 そして東海林先生とゴローのタッグが極まった77年、78年の2作「 GORO IN NISSEI THEATRE -野口五郎 日生劇場特別リサイタル- +5<タワーレコード限定> 」「 GORO IN NISSEI THEATRE -野口五郎 日生劇場特別リサイタル- +5<タワーレコード限定> 」は、かの日生劇場特別リサイタル。
 矢島賢さん、岡沢章さん、田中清司さんら名うてのスタジオミュージシャンが結集した豪華なGOROスペシャル・バンドをバックに繰り広げるリサイタルは、早くも円熟の境地へと入ったことを証明しております。
 前者は大ブームのPLをパロった「カルメン警部とペッパーレディー」、後者は、ウォン・ウィンツァンこと江夏健二さんのキーボードや、ゴローが後にEVEと名付けるアップルズのコーラスも聴けるお楽しみもありますが、才気あふれる実力派とはいえ20歳そこそこでこれだけのステージができるなんて。
 
 当時のゴロー、いやヤングアイドルというジャンルであってもこれだけクオリティの高い活動をしていたことを後世へと伝える名盤だといえるでしょう。むろん当時も芸術祭優秀賞に輝くなど非常に高い評価を得ているのですけどね。このへん、なかなか語られることがないので残念です。
 
 ちなみに当時の実況録音盤はレコードよりテープの方が収録曲が多いというケースが多々ありましたが、ゴローの場合も同様で、今回はテープにのみ入っていたナンバーもボートラとして追加収録になるそうです。
 またポスターが付属していたタイトルはそのポスターも復刻されるとのことなので、ゴローファンは必携ですね。
 
 という、今回のゴローのタワレコ復刻。毎度申しておりますが、次こそは、筒美系アルバムで未CD化となっている72年のセブンティーン歌詞募集オリジナル・アルバム「青春の旅路 新しい汽車」(お兄さん作曲のナンバーも入ってます)の復刻に期待しております。
 
 
 

(2016.6.23)

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