孤高の異邦人、ついに市販盤で全アルバム紙ジャケ復刻!
ああ、やっぱり市販盤として紙ジャケ復刻ですか。
久保田早紀。それもソニー時代の全オリジナルアルバム7枚「 夢がたり(紙ジャケット仕様) 」「 天界(紙ジャケット仕様) 」「 サウダーデ(紙ジャケット仕様) 」「 エアメール・スペシャル(紙ジャケット仕様) 」「 見知らぬ人でなく(紙ジャケット仕様) 」「 ネフェルティティ(紙ジャケット仕様) 」「 夜の底は柔らかな幻(紙ジャケット仕様) 」が一挙に。
オーダーメイドファクトリーでは後期の3枚と、さよならコンサートのDVD「フェアウェル・コンサート」が幾度となくアンコールプレスを繰り返すなど、現役時代よりもスゴイ再評価の彼女ですし、初期のCD選書では「エアメール・スペシャル」が早々と廃盤になっていましたから、完全生産限定と言えども、こうやって市場に流通するのは喜ばしいことですね。
と言いつつ、ショップがどこまで発注をかけるのかは疑問だし、並ばないお店が圧倒的に多いような気もいたしますが…。ワタシをはじめ、いつも同じ面々が買ってる感がありますからねえ。
と、ちょっと前途多難で否定的なようですが、全然そうではありませんので。
ファーストのCD選書なんて、15年以上ぶりの再発だし、リマスタリングによる飛躍的な音質向上も期待できるし、何より、孤高の天才の軌跡をこうやって紙ジャケというパッケージでコレクションできるのは、音源所有とは関係なく価値あるものだと思います。
それに、例の問題視されたCMで久保田さんを思い出した、かつてのファンの方々が、CDというものを久々に買う可能性もあることだし。復刻を素直に喜ぶことにしましょう。
アルバムの中でイチバン聴いたのは皆さんと同じく「夢がたり」です。「帰郷」とか「星空の少年」とか、小学校生活の最後によく聴きましたっけ。
あと、いつも言ってますが、「サウダーデ」(特にA面)を聴いた時の衝撃は忘れることができません。ファドという音楽があることを初めて知ったアルバム。祈りにも似た響きは、13歳のワタシの魂をドーンと揺さぶったのであります。
太田さんの後釜としてCMソングに起用され、さわやか系を狙った「エアメール・スペシャル」も好きでした。あと、ちょっと間が空いて、ラストの「夜の底は柔らかな幻」も引退で露出が多かったラジオでよく耳にしましたね。
本編に綴ったこともありますが、個人的には次第に内省的に哲学的になってゆく様とか、にじみ出る苦悩とかにいつも心を奪われます。もちろんそれぞれの楽曲が優れているのは言うまでもありませんが、ワタシは内外との葛藤を、ああいう形で残されたことこそ、久保田さんの音楽の最も素晴らしい点だと思っています。残念ながら、久米小百合の音楽にはそれが見られなくなりましたが。
未聴の方はぜひ、このシリーズで彼女の恐るべき才能を十二分にご堪能ください。
なお、今回ボーナストラックがあるのかはまだ不明ですが、フルコンプをしたい方は、ドーナツ盤のジャケ写も完全復刻した好企画シングル全曲ベスト(久米小百合を含む)「」をあわせてお求めください。
私事ですが、このところの紙ジャケ復刻で、全部のCDを持ってるのに買い直さなきゃならなくて正直キビシイんとこもあったりして。
ワタシの場合、こういう再発の折りには、昔のを下取りにガンガン出すので、負担はさほどないし、時にはお釣りが来る時もあるのですが、フツーの人の感覚から見ると価値観の相違を超えて盗っ人に追い銭のアホみたいに映るらしく、ずーっと大目に見てもらってたんですが、こないだお目玉をくらっちゃった…。
大好きな趣味だし、何より大切にしたいのはヤマヤマですが、いろんなとこに影響が出てしまって。買うことが復刻の近道とエラそうに言ってるのに、あいすみません。皆さんとこは大丈夫でありますように…。
(2007.3.8)