懐かしい心のふるさとへ、涙のベスト!
こちらもポプコン・マイ・リコメンドシリーズ「 ポプコン・マイ・リコメンド NSP 」。
2000年から始まった活発なリイシューから天野さん、中村さん、平賀さんのオリジナルメンバーでの再結成が実現した矢先、天野さんの急逝によって、伝説になってしまったN.S.P。
このベストは、コアなファン向けというより、改めて聴いてみたい、初めて触れてみたい、そういった方向けの内容と言えるでしょう。
ニュー・サディスティック・ピンク。その名の通りそもそもはピンク・フロイドに傾倒したプログレ少年だった彼らですが、やはり叙情派フォークの代表格というイメージが強いですね。
地方の高校生を押さえてた、なんて声も聞かれますが、コレにはワタシも大納得。
田舎のイトコたちはLPをたくさん持っていましたし、小学生だったワタシは大好きなイトコがこぐ自転車の後ろで、「八十八夜」なんかを教えてもらいましたっけ。
「N.S.Pって“なっとう・そらまめ・ぴーなっつ”のことだよ」なんてからかわれたことも思い出します。
あの日、夏草の匂いが一面に漂っていたデコボコ道も、今はすっかり変わったといいますから、余計に郷愁が募ります。そして、そういう思い出に、N.S.Pの歌はぴったりのような気がします。
天野さんの独特の感性や視点にはハッとさせられることが多くって、堀ちえみ「夕暮れ気分」の優しいメロディーにはとにかく泣かされました。ちえみにお願いされたからじゃなくって、歌に惹かれて募金しちゃったほど。
また、石川ひとみの「君は輝いて天使に見えた」は、明星の歌本で曲を聴くより先に詩を読んだんですけど、中2のワタシは、電車のつり革が天使の輪に見えるという感性に感動してしまったものです。
ちょっと話がそれてしまいましたが、チャーがバックバンドにいたり、LA録音のアルバムでは、あのTOTOになるメンバーとセッションしたり、叙情派フォークの裏にいろんな要素を持っていたN.S.P。
そんな背景にも思いを馳せながら、ワタシもじっくり味わうことにします。
そして心の中で、あの懐かしいふるさとへと駆けていくことにします。
(2006.10.20)