団塊世代の青春回顧に、一縷の望みを…
コロムビア、ソニー、東芝EMI、ビクター、ポニキャンのレコードメーカー5社からのリリースによる共同企画DVD「NHK映像歌年鑑」。
1960(昭和35)年から、79(同54)年まで、20年間を2年ごとに「 NHK映像歌年鑑 そういえばあの時このうた 1960-1961 [DVD] 」「 NHK映像歌年鑑 そういえばあの時このうた 1962-1963 [DVD] 」「 NHK映像歌年鑑 1964・65年 ~そういえばあの時この歌~ [DVD] 」「 NHK映像歌年鑑 1966・67年 ~そういえばあの時この歌~ [DVD] 」「 NHK映像歌年鑑~そう言えばあの時このうた~1968~69 [DVD] 」「 NHK映像歌年鑑~そう言えばあの時このうた~1970~71 [DVD] 」「 NHK映像歌年鑑 ~そういえばあの時このうた~ 1972-1973 [DVD] 」「 NHK映像歌年鑑 ~そういえばあの時このうた~ 1974-1975 [DVD] 」「 NHK映像歌年鑑~そういえばあの時この歌~1976-1977 [DVD] 」「 NHK映像歌年鑑~そういえばあの時この歌~1978-1979 [DVD] 」という10巻に分けてのリリースとなっています。
年代別コンピCDの集大成“青春年鑑”シリーズの映像版という触れ込みに、イロイロ期待してしまいますが、コレはNHK-BSでオンエアされた5分間番組「そう言えばあの時このうた」をベースにしてDVD化したものだそうです。
それぞれの時代の世相を映したニュースと、流行歌をシンクロさせた映像に、昭和と自らの人生を懐古し涙ぐむ人も多かったとか。
そういう構成ですので、ご本人の歌唱映像を求める方には不向きと言えましょうが、流行歌という意味においての歌謡曲を再確認するには貴重なパッケージではないかと思います。2年ごとにまとめ、好きな時代のみ買えるのも重宝しそうですしね。
昭和歌謡ブームの昨今、当時の歌だけを聴いても楽曲の良さは十二分に伝わるとは思いますが、やはり歌は世につれ。流行歌は時代を映す鏡なのだし、その時どきの空気とは切っても切れないもの。
そういう視点からも流行歌の真の魅力や意味は、時代背景なしに実感することは難しいのではないでしょうか。であるからして、このDVDはホントに有意義なものだと思います。
そして別な意味でワタシが期待している、というか一縷の望みをかけているのは、このシリーズのターゲットであり、コレを見て青春の軌跡を振り返られた団塊前後の皆さん。戦前の価値観を否定し、物質主義で世の中を動かしてきた皆さんが、自らの生き方がもたらしたものを直視した時、どうお思いになるのか。
それは素晴らしい財産なのか、あるいは糾弾されるべき罪なのか。もし、悔い改めるものだったとしたら、ワタシは未来に希望を持ちたい。だって、その方々は、いま社会の頂点に立っている人たちなのだし、世の中を動かせる力が最もあるはずだし。
その時初めて、日本は“美しい国”へと回帰できるのかもしれません。
(2006.12.18)