ター坊のピュア・アコースティック第2章
一昨年いろいろと身辺をリセットなさったというター坊。
昨秋、大橋歩さんの雑誌「Arne」愛読者の友人は、ター坊のインタビューを読んで慌てて教えてくれましたが、ワタシは、いつもそういう風に整理しながら生きてこられた方だということを一方的に存じておりましたので、何の心配もせず、次作がピュア・アコースティックの続編らしいということを、ただ期待いたしておりました。
そしてこの新譜の知らせが届いたのです。
ピュア・アコースティックはター坊の代名詞ですし、今でも恒例のクリスマスコンサートが開かれていますが、パッケージになるのは通販&ライブ会場で販売された87年以来では?!(注・新録を加えた再発の市販盤「 pure acoustic 」が94年に出ています) あー、早く聴きたい!と思ってしまうのは自然なことですよね。
というわけで、これまた復刻盤ではありませんが、セルフカバーがほとんどですし、何より素晴らしい内容ですので、ご紹介いたしますね。
なんとソニーからのリリースとなる「 Boucles d'oreilles (ブックル ドレイユ) 」。タイトルは、フランス語でイヤリングという意味ということですが、ター坊の音楽にぴったりではないでしょうか。
曲数はパート1からのボーナストラックも含め、お得な全14曲。
おなじみの名曲「彼と彼女のソネット」や「メトロポリタン美術館」をはじめ、「Shall we dance ?」「黒のクレール」「突然の贈りもの」などのヒット曲(と言ってしまおう)や「新しいシャツ」「横顔」「風の道」といった歌い継がれるナンバー、前作からの「Hiver」、そしてアサヒビール「贅沢日和」のCMソングとしてオンエアされている「Shenandoah」まで、新旧取り混ぜた構成。
ボーナスとはいえパート1からの曲が入ってしまうのは古くからのファンには今一つかもしれませんが、ター坊の魅力を少しでも多くの人に知ってもらうことこそ、こういう入門編にする方がベストだし、今後の活動の支えになるのではないかという気がします。
なお「Shenandoah」は、古いアメリカの歌ですが、矢野顕子がNY移住後のアルバム「 LOVE IS HERE 」(93年)で取り上げたことで知られる佳曲。
確かアッコちゃんは、当時小学生だった美雨ちゃん(むろん坂本美雨)が学校で習ってきたのがきっかけと言ってたように思います。
初回盤は紙ジャケ仕様。前作「 One Fine Day 」の紙ジャケも歌詞カードをはじめカワイイ作りでしたし、やはりパッケージとして手に入れておきたい一枚です。
ワタシは自然に対する畏敬の念みたいな感情を胸に、美術館とか図書館にたちこめる雰囲気みたいな空気に包まれながら、背筋を伸ばして聴いてしまうと思います。
そして、きっと、ちょびっと泣いてしまうと思います。厳しくも優しい、ター坊の美しい調べに打ち震えながら…。
あ、こういう聴き方をオススメするわけではありません。オーガニック系のレストランや、こだわりのケーキショップ、雑貨屋なんかでBGMにされていますし、ナチュラルな環境音楽のような聴き方もできることでしょう。ともあれ、絶対買って損はしませんから、皆さんもぜひどうぞ。
なお、4月には、おなじみのフェビアン・レザ・パネさんや金子飛鳥カルテットら本作のバッキングを担当した面々を従え、ツアーもスタートするといいますから、こちらにも超期待です。
(2007.1.10)