35周年!ユーミンのシーズンコンピ前編
今は昔。例のアルファ時代のトラウマからなのか、かつてはベスト盤を毛嫌いし、時には憎しみに満ちたかのような発言もなさってたユーミン。
アルファのベストは「 YUMING BRAND 」以外は納得して出したものではないと公言し、暗に不買運動を煽動している感もありましたが(東芝からカセットのベストはいっぱい出ていたのにな…)、社会現象期が過ぎ、CDが売れない時代(業界全体という意味です、念のため)が訪れてからは自選の2枚組をリリース(「 Neue Musik 」「 sweet,bitter sweet ~yuming ballad best 」)するなど、ワタシはあのユーミンも時代や社会の流れに逆らえなくなったんだという時代の終焉みたいな感慨にふけったものです。
そんなユーミンですから、今年の35周年に何も出ないワケはないでしょう。ということで、記念の特別企画としてユーミン・ベスト・アルバム、SEASONS COLOURSシリーズが立ち上がり、まず春夏編の「 SEASONS COLOURS-春夏撰曲集- 」が発売されることになりました。
このベスト、2枚組で、残念ながら前2作のような新曲や新録は皆無だとか。
しかし、構成はワタシ好みでして、1枚目の“Spring Selection”は原田知世のミュージカルのために書いた「ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ」からスタート。「卒業写真」「最後の春休み」といった学園ものや、渋い「ハルジョオン・ヒメジョオン」「花紀行」「丘の上の光」、萩尾みどりに書いた「大連慕情」、不二家の再興を祈りたい「まぶしい草野球」、松任谷姓になって初のシングル「潮風にちぎれて」など、スタンダードや隠れた名曲がテンコ盛り。
2枚目は“Summer Selection”となっていて、各方面で久々に絶賛された最新アルバム「 A GIRL IN SUMMER 」に収録の「海に来て」をオープニングに、「やさしさに包まれたなら」「雨のステイション」といった荒井ナンバー、私小説の「悲しいほどお天気」、新旧コンサートの定番曲「カンナ8号線」「DANG DANG」「LAST SUMMER LAKE」などなど。ラストが「晩夏 (ひとりの季節)」というのもいいですね。
ご自身のFM番組でもよくかかる曲が多いのですけど、コレってご本人の選曲ではないような気がしますが、どうなんでしょ。なお、同時発売として発売されると言いながら延期になっていたDVD「 松任谷由実 THE LAST WEDNESDAY TOUR 2006 ~HERE COMES THE WAVE~ [DVD] 」がリリース、秋冬篇は10月頃リリース予定だそうです。
さて、当サイトのルーツをたどるとユーミンに行き着きますし、いわゆる熱烈な“信者さん”だったワタシ。ユーミンのコンピカセット作りを趣味みたいにしてた時期もあったりして…。
春夏秋冬コレクションは言わずもがな、ABC順に収めたユーミン・ディクショナリーや、ツアー演奏予想曲集にバラード集etc…。中でも和テイストのナンバーでまとめた、名付けて「由実の呉服自慢」は自画自賛のお気に入りセレクションでした。
しかし、最近はとんとご無沙汰で、コンサートには欠かさず行き、CDは買い続けるもののなんだか遠ざかりがちだった…。
でも、このコーナーでもみんなの周年をお祝いさせていただいてるのに、ユーミンをシカトすることはできないだろうと思い直し、ご紹介することにしたのです。また、個人的に今年に入ってからユーミンを聴く機会がグーンと増え、全アルバム&シングルをiPodに入れましたし、今夏のシャングリラも出かけるようにしましたしね。
と、ブログみたくなってしまいましたが、シーズンコンピっていう切り口こそ、ユーミンのベストにふさわしいものだと思っています。
ですから、このベストは大推薦。特に、ユーミンのいわゆる華やかに見える歌世界が苦手だったり、キライだったりする人にこそオススメしたい。
なぜなら、ユーミンってある時期からオシャレで何でも持ってる山の手路線のイケイケ自己主張ミュージックっぽいとらえ方が主流になりましたが、ホントは孤独でモテなくて、自分の中でいつも恋愛シミュレーションをして失敗してるような、内省的で自虐的な思想が根底にあるから。
例えるなら、おそろしく繊細であるがゆえ、ひねくれてしまって意地悪にならざるを得なかった未成熟な思春期的少女性。そしてそれは、世に生きるほとんどの人の心にある普遍的な感情だったからこそ、ユーミンはあれほどの支持を受けたんじゃなかろーか。
ワタシは長年、そう思っております。
(2007.2.1)