30年間笑顔のブーヨン、30周年これくしょん!
記念すべき第1回ホリプロ・タレントスカウトキャラバン優勝者、榊原郁恵。
1977年1月1日デビューですから、ちょうどデビュー30周年となります。
その記念日にお祝いのベスト盤「 榊原郁恵 シングルコレクション 」がリリースされることになりました。
もう安定した人気のタレントとして、これからもずーっと活躍していくでしょうけど、あまりのフツーぶりにデビューの頃はすごく違和感を抱いていたワタシ。
百恵ちゃんの「春琴抄」で笑い転げる郁恵ちゃんを見た時、この子は新人の漫才師だと誤解してましたし。だからか、後の活躍と現在の立ち位置を思うにつけ、余計に感慨深い30周年です。
しんぐる・これくしょん+αというこのベストは、CDとしてはおそらく初めての2枚組ではないかと思いますが、ボックス「 郁恵自身-25th Anniversary Edition- 」を買うほどでもない、でも「 ベスト・セレクション 」のような1枚ものでは物足りないという人に打ってつけ。
郁恵ちゃんというアーティストの軌跡が楽しめるのはもちろん、あの頃のサウンドの変遷や、元気ハツラツ路線から哀愁路線へとシフトする、アイドルの典型的なイメチェンの推移など、資料的な価値も高いですね。
こういうきちっとしたベスト盤が、数多く出て、末永くカタログに残ることを祈っています。リリース時にさほど売れなくても、きっと静かにはけていくと思うので。
デビュー曲「私の先生」でスタートを切り、78年の「夏のお嬢さん」で大ブレイクを果たし、79年あたりにはトップアイドルへと上り詰めた郁恵ちゃん。
レコ大新人賞にユッコを抑えてすべり込んだ「アルパシーノ+アランドロン<あなた」、腰に付けた着脱自在のめざめ星が印象的だった「めざめのカーニバル」、TDKのCMソングでもっと売れるかと思った「Do It Bang Bang」など、佐々木勉さんを中心にした初期の作品群は今聴いても唯一無比の世界です。
ナッキーの主題歌「あなたと夢とポップロック」、後輩の比企理恵がオーディションで歌った「青春気流」、中期の筒美テクノの傑作「ROBOT」など、名曲も多いんですが、歌手としての実績はイマイチみたいなイメージがありますよね。
それはやっぱNMブームのあおりを受けて、人気は絶大なのにセールスは伸びないという憂き目にあったせい。みんな知ってる「夏のお嬢さん」でさえオリコンでは11位止まりなんですから。
これは同時期に双璧をなした石野真子も同じですが、そのせいで歌手としての評価が低いとすれば、非常にやるせない感じがします。
ですから、このベストはさほどファンでない人にも聴いていただきたいな、なんて思います。
え、ワタシ? なんだかんだ言ってきましたが、れっきとした大ファンでしたよ。それでなきゃここで紹介したり、本編で取り上げたりしませんです、ハイ。
(2006.10.20)