希代のボーカリストによるJ-POP名曲アルバム
赤い鳥、ハイ・ファイ・セットを経て、マイペースでソロ活動を続ける潤子さん。
ワタシはもちろん大ファンですし、先日久々にライブにも伺って、往時と変わらぬ美声にいたく感動いたしました。
ということで、復刻盤ではないのですが、久々のメジャーレーベルからの発売となる新作「 SONGS 」をご紹介させていただくことにしました。
新作、といっても驚くなかれ。今回のアルバムは全曲J-POPのヒット曲をカバーするという企画。
セルフカバーの「 J’s 」や、元オフコースや元ふきのとうのメンバーと組んだ別ユニットでのフォークのカバー「 Ellys Green 」などもありましたが、近年のヒット曲のカバーとは、楽しみじゃあありませんか。希代のボーカリストとしての才能をいかんなく発揮する仕上がりになるのは間違いないでしょう。
収録予定曲のラインアップには、「空と君のあいだに」「桜坂」「Missing」「Cross Road」「サンキュ」「世界に一つだけの花」「ロビンソン」「最後の言い訳」「恋の予感」など、80年代後半から2000年代までの名曲がズラリ。
中島みゆきやサザン、ドリカムらに加え、福山雅治、ミスチルやスピッツなど、潤子さんからすれば息子世代と言っても過言ではない若手(というにはトウが立ってはいるけど)も押さえていらっしゃいます。また、アレンジには大好きな山弦のお2人も参加しているそうで、とっても楽しみです。
先月、ライブを拝見してつくづく思ったのだけど、潤子さんって類い希な才能のボーカリストだと認められていても、自由に活躍できているとは言い難いんですね。「うまいよね」「いいよね」とは言われるけど、セールスは伸びないから次作のチャンスがなかなかない…みたいな。聴き手にしても「ファンです」「好きです」とか言いながら、CDには手を出さない、みたいな風潮もあったり。
矢野アッコちゃんが昔、自らの活動が成り立つには「『私はあなたの音楽が好き、だからそれに見合うお金を出します。レコードも買います』っていう能動的な態度が欲しい」と言っていましたけど、やっぱりそうなのだと思う。
ワタシも含めて、レコードが高価だった時代には大事に大事に聴いていた人も、CDには使い捨てでコピーしたい放題みたいな感覚をつい持ってしまう世の中ですが、アーティストが胸がふるえるほどの素晴らしい音楽を届けてくれたのなら、やはりちゃんとCDを買うという行為でお返しするべきではないかと思います。
だって、音楽は消耗品ではないんだもの。そして、好きなLPが復刻されたら満足っていう、狭い檻からも抜け出さないと。生きる上でいろんなパワーを与えてくれた音楽への恩返しのためにも、ね。
そんな殊勝なことをつらつらと考えるのは、もはや日本の音楽業界のメインターゲットから外れてしまった失望と、年老いてきた故の懺悔がなせる業でしょうか。
(2007.1.25)