ミヨちゃんデビューのシリーズ最高作、DVD化
久世光彦さんがお亡くなりになって、はや1年ですね。
寺内貫太郎一家のDVD化が始まった矢先でした。まるで追悼のように時間ですよ第2シリーズも貫太郎一家2もDVD化され、複雑な思いをしたワタシですが、やはり久世さんの遺された名作が気軽に見られるようになったんだし、素敵なことに違いありません。
天国の久世さんもお喜びになられていることでしょう。ワタシは向田さんと再会なさっていることを確信してたりして…。
そして、このたびシリーズ中最高傑作との呼び声高い第3シリーズ(1973年放送)がめでたくDVD化となりました。全30話、15話ずつそれぞれ5枚組、DVDボックス「 時間ですよ1973 BOX1 [DVD] 」「 時間ですよ1973 BOX2 [DVD] 」という2セットに分けての発売となっています。
近年、CSで再放送もされていますけど、やはりパッケージとして残しておきたい名作です。
このシリーズで、最大の注目は、やはりミヨちゃんこと浅田美代子のデビューでしょう。
“第2の天地真理”をめざし2万5千人もの応募があったオーディションに合格。ティーンアイドルに多かった二足のわらじを履くことなく、名門女子校を中退してまで芸能活動に専念したミヨちゃんの初々しくも衝撃的な演技が見もの。
そして何より、劇中歌(レコードには主題歌と書いてあった)「赤い風船」。CBS・ソニーの「EPIC」レーベルから歌手としてもデビューした浅田美代子こそ、この第3シリーズの勝因でありましょう。
キョドってる視線が批判を浴びたり、音痴だのさんざん酷評されましたが、ズズ&筒美先生の童謡を思わせるシンプルでやさしい歌詩とメロディー、そして本人の可憐であどけないキャラクターと歌が、これまでのアイドルにない新鮮な魅力を作り上げていたのは疑いようのない事実です。燦然と輝くオリコン1位だしね。
ワタシも、マチャアキや真理ちゃんの応援を受けて歌う姿にはいっぺんに大ファンになってしまった。何を隠そう、ひらがなと見よう見まねの漢字で、生まれて初めてファンレターを書いたのもミヨちゃんなのです。毎日郵便受けをのぞいたけど、返事は来なかったけど…。
ともかく、ミヨちゃんのシンガーとしての魅力を再確認していただけたら、ウレシイです。そしてシングル完全収録の「 GOLDEN☆BEST/浅田美代子 」を聴いていただきたい。ってか、まだお持ちでない皆さんにぜひとも買っていただきたい、なんて思ってます。
それと、ミヨちゃんの加入で完成した“トリオ・ザ・銭湯”も見逃せません。ワタシのギャグのルーツはきっとココにあるんだろうな…。
あとは、第2シリーズでは悠木千帆(樹木希林)演じるハマさんと小坂一也を取り合った研ナオコが準レギュラーに抜擢され、コミカルさをいかんなく発揮してるとこや、国民的スターのオーラが出過ぎて、もう2階のマリちゃんではなくなってしまった燦めく真理ちゃんなど、見どころいっぱい。
ストーリー云々より、ついついこういうとこに注目してしまいますが、これも久世ドラマの真骨頂なのだと思います。
ここ半年ぐらい、森光子さんの変貌ぶりに驚き、心配して目が離せないワタシですが、お体に留意されるとともに、でんぐり返しはお控えになって、もう一度松の湯のおかみさんに扮してもらいたい。そしてマチャアキには、あのひと声をかけてもらいたい。「おかみさーん、時間ですよーっ」って。
そしてみんなで、小突き合いなんかをしながら、夕ご飯を食べたりなんかしたい。
そうすれば、35年近く経ってしまったけど、懐かしさだけではない何かが、かつては当たり前だったけど今ではみんなが忘れてしまっていた何かが、大きな力となって、湧き出てきそうな気がする。
そして、また胸のあたりがキュッとなるほどうれしくて、しあわせで、楽しい日々を紡いでいけそうな気がする。世の中がどう荒んでも。
だから、あきらめない。泣いて笑って喧嘩して、そしてまた笑って。それが、天国の久世さんから届いたメッセージ。きっと、そうですよね。
(2007.2.18)