三度目の正直! 16年におよぶヒロリン復刻劇、再始動!
91年、“YOUNG POPS FOR YOUNG ADULT”と題したビクターの2in One定番コレクション「あおぞら+ファンタジー」から始まったヒロリンのアルバム復刻。
Q盤ブームのさなか、定番COLLECTIONとして仕切り直しとなり、94、5年にかけ筒美ロス録音「WISH」までの9枚がスムーズに発売され、ご本人も「全アルバムがCDで出ます」とおっしゃったことがありましたが、結局後が続かず…。
通販BOX「岩崎宏美全集」で「すみれ色の涙から…」が聴けたり、30周年の「30TH ANNIVERSARY BOX」では何曲かがチョイスされたりしたものの、全アルバムをCDで聴きたいという熱心なファンの中には、肩を落としていた方々も多かったことでしょう。
かくいうワタシもそんな一人。歌唱はもちろん、遺産的価値のある名盤ぞろいですからね。
待ちすぎて首が伸びきってしまった人も多そうなのですが、ようやく決定しました。
ビクターによる、岩崎宏美オリジナルアルバム復刻。三度目の正直、もう一度イチから出直しますという感じで「あおぞら」から「Me too 」までの22タイトル、4ヵ月連続のリリースとなっています。
第1期を簡単に紹介しますと、昔は必死で隠していたオデコが唯一のぞくデビューアルバム「 あおぞら+1(紙ジャケット仕様) 」。天まで響く歌声と、それに触発されたであろう楽曲のハイレベルさ。阿久+筒美コンビを筆頭に第一線の作家陣が驚異の新人に期待を込めて贈った名曲がテンコ盛り。
「涙のペア・ルック」など詩だけ読むとちょっと笑ってしまう学園ソングも、初々しい生気にあふれていて、清々しいのひとこと。まだぎこちない感じも逆に魅力的です。
お次は今は亡き糸居五郎さんのDJがイカす、ヒロミ・イン・筒美ディスコの傑作「 ファンタジー+10(紙ジャケット仕様) 」。リズムをパワーで乗り切った、和風ブラックお嬢さんのステップを聴け!チークタイムは「おしゃれな感情」「グッド・ナイト」でキマリです。
そんでスカイミントなジャケにやっぱり苦笑する「 飛行船+2(紙ジャケット仕様) 」。スウィングのトリートメント効果(CMはもうちょっと後だったけか?)か、しっとり具合も出ててグーですが、定番シリーズでも早々に廃盤になってたので、今回のラインアップでは貴重盤です。
そして高校を卒業してぐんと大人びてゆく「 ウィズ・ベスト・フレンズ+2(紙ジャケット仕様) 」。「わたしの1095日」「学生街の四季」など学生時代を振り返る名曲も多いし、タイトルもいいし、昔からファンの人気は高かったですよね。
最後は初期の転機となったロングヒットを収録の「 思秋期から・・・男と女+1(紙ジャケット仕様) 」。SEがシンシアのLP「傷つく世代」を思わせるサウンドドラマなんだけど、19才とは思えないほど、情感たっぷり。ワタシはサウンドも歌もすべてが洗練されてる「Boo Boo」がイチバン好きです。
第2期も、流行のニューミュージックにも挑戦した「 二十才前・・・+4(紙ジャケット仕様) 」、ヒロミ・イン筒美ディスコの集大成「 パンドラの小箱+4(紙ジャケット仕様) 」、アルバム単体としては初CD化となる洋楽スタンダードの企画盤カバーアルバム「 恋人たち+7(紙ジャケット仕様) 」、珍しくシングル曲が一切入っていない「 10カラット・ダイヤモンド+6(紙ジャケット仕様) 」、LA録音の贅沢な筒美作品集「 WISH+7(紙ジャケット仕様) 」と名盤多し。
第3期は待望の初CD化盤もたくさんあるので、CD化されていた既発タイトルをほとんど持っている身としてはイチバンの楽しみといえますし、リマスタリングにも期待です。
ワタシは当時「I won't break your heart 」をCDで買ったんですけど、アレがイマイチ好きになれないのは、きっと音のせいだと思ってるんですが、そのへんも確認してみたい。大好きな「cinema」や「Me too 」でも、80年代のCDがまるで違う音質になることを実感してみたいです。
それと、今回の復刻は仕様も豪華でして、なんと紙ジャケ限定。しかも、ご本人のインタビューをもとにしたリレー解説も付いて、PLのような複数購入応募特典も用意されているとか。
CDファイルが廃盤の今、各アルバムに未収録のB面曲や「二十才前」の鼻声バージョンとかがボーナス・トラックとして追加されれば、誰でももう一度そろえ直しちゃうと思うけど、どうでしょ。*
PLのアルバム復刻時には、ビクターは紙ジャケもシールドも質が…なんていう声も聞かれましたが、確かに他社と比べてしまうとチープな感じは否めないかもしれませんが、旧ロゴも入れてあのオビの再現性やはとてもよかったと思っています。
ビクターの場合、ヒロリンの初期あたりまではプレスごとにオビが変わったりした感もあったように記憶してますから、コレクターの方の中にはどれが再現されるかというのも楽しみじゃないでしょーか。
やっぱCDラックにも定番COLLECTIONとか80年代版とかバラバラになっちゃうより、紙ジャケでずらーっと並べたいですしね。
持ってないのだけ歯抜けで買うか、思い切って大人買いしちゃうか、ここが思案のしどころですが、BOXセットなら迷うことなく即予約したんだけど…今はかなり迷ってます。
ヒロリンの場合、1800円の定番COLLECTIONは一部を除きまだ生きていますし、最近のビクター紙ジャケは2000円ポッキリという感じでしたから、金額だけを比較してしまうと高いと感じる人もいそうですが、ワタシはまず2in Oneで初復刻された時のことを思い出しましょうと言いたい。
あの時は収録時間の関係上、一部曲目カットとかいう編集にもかかわらず、CD化された喜びに満足していましたっけ。それに比べて今回は何と豪華なことよ。まさに夢実現という感じだし。
とにかく、今回の復刻はヒロリンファンのみならず、筒美フリークも、ソウル&ディスコ好きも、歌謡曲マニアも、ボーカルファンも、音楽を愛するすべての人にオススメします。
この機会に、うたの神様に愛され続ける天才少女の軌跡をぜひCDでそろえて、丹念に追ってみてください。そして今度は悲願のライブアルバム復刻へ、いざ!
(2007.1.10)
*ボーナストラックとして、アルバム未収録のシングル曲などが収録されることが発表されました。「ファンタジー」は糸居五郎さんのDJ 抜きバージョン完全収録です。以降も「二十才前」の鼻声バージョンをはじめ、本文で紹介したレアトラックはすべて収録となっています。