マリーンの1st、紙ジャケで久々に再発!
フィリピンの天才少女が、マリリンという名で日本デビューを果たしたのは79年のこと。
日本語詩による筒美京平作品の「LOVE ME」(東芝盤のウルトラ・ベスト・トラックスでCD化済み)をはじめいい曲を残しましたが、アイドルともアダルトとも言えないスタンスで、話題にのぼることはありませんでした。
そして、2年後の81年。マリリンはCBS・ソニーからマリーンと名を変え再デビュー。
後の活躍はご存じの通りですが、そのマリーンのファーストアルバムが「ファースト・ラヴのように」。
CD選書も永らく廃盤となっておりましたが、今回、昭和の和製ジャズ史を振り返る“J-Jazz Legend”シリーズの第1弾として、紙ジャケ完全生産限定・SACDハイブリッド盤「 ファースト・ラブのように(紙ジャケット仕様) 」として再発されることになりました。
80年代半ばにかけて、とても人気のあったマリーン。
ワタシも大好きで、各地のジャズフェスを追っかけしたこともありますし、自分にとってはジャズを聴くようになった入り口となった人です。
モロジャズアルバムもありますが、全体的に親しみやすいポップなフュージョン系というイメージで、その中途半端具合が辛口ジャズファンからはあまり認められていなかったような…。
この立ち位置、ワタシはジャズ/フュージョン界の太田裕美だと思ってまいりましたが、このポピュラー性こそ、ワタシを含めジャズには馴染みのなかった者たちに浸透していった原因であり、マリーンが成し遂げた大きな功績だと思っています。
もちろんあの気さくなキャラクターと、ステージでのキュートでダイナミックなパフォーマンスに触れると、誰でもトリコになってしまうはずですけどね。
「マジック」の頃なんか、ちょっとオシャレな若者のドライブミュージックは、マリーンのカセットが多かったような気がします。
さて、マリーンと言えば、現在に至るまでカバーとオリジナルを絶妙なバランスで取り混ぜながら歌ってきましたが、このファーストでは何と言ってもカバーの秀逸さに脱帽です。
「Feel Like Makin' Love」をはじめ「Lovin'You」や「マスカレード」「きみの友だち」「可愛いアイシャ」など、数々の名曲がフュージョン系のサウンドでまとめられ、マリーン天性のグルーブ感と言いますか、ブラック系に決して負けない素晴らしいボーカルを聴かせています。
現在あるCDは古くて音質もとても悪いので、今回、SACDの素晴らしい音で聴けば、マリーンの魅力がさらにアップしそう。そして、今後、幾多の名アルバムがこれに続くことを祈ります。
結婚して私生活も安定しているご様子のマリーン。たまにテレビで見かけたりしますけど、そろそろ新作を発表してくれないかなあ。
実はワタシ、新譜を求める余りマリーンという名のアーティストが歌うアバのハウス版カバーCDを買って、別人だったことに憤慨したこともあった…。勝手に最高傑作と思っている「What's New」からはや9年だし、今回の再発を機に、ソニー時代のアルバムを聴き返して、そのクオリティの高さに改めて感動してしまったし。
プロデュースはもちろん育ての親・伊藤八十八さんで、彼のEighty-Eight'sレーベルからのリリースを切望します。
と思っていましたら、本田雅人のビッグ・バンドと競演したニューアルバム「 Jazz'n Out 」がリリースされるみたいです。
(2007.4.4)