切り口に拍手!1stアルバム1曲目コンピ!
各種ボックスにコンピ盤、復刻ものやコンピ市場は一定のセールスが見込めるとあって、とにかくリリースが続きますね。
ココまで復刻され音源自体が目玉にならなくなってしまうと、コンピ盤なんかはやはり切り口次第という感じです。
この「デビューアルバムに針を落として…」シリーズは、タイトル通りファーストアルバムの1曲目を集めたコンピ盤ということなんですが、なるほど面白い内容で、アイドル以外でもイケそうな感じ。メーカーの枠も超えてるますしね。
“レコード盤に針を落とし音が出るまでのワクワク感を連続して味わえる”というのも納得です。
しかし、アイドルたちのファースト(特に70年代)では、LPの1曲目はたいていデビュー曲または第2弾か第3弾と相場が決まってたので、いわゆるアルバム曲のコンピという雰囲気にはならないんじゃないかと、それが残念です。
その証拠に、70年代編の「 デビューアルバムに針を落として・・・ 70年代アイドル編 」では、キャニオン組なら木之内みどりが「あした悪魔になあれ」より「あした悪魔になあれ」、岡田奈々が「奈々のひとりごと」より「ひとりごと」、林寛子が「乙女」より「ほほえみ」、荒木由美子が「ヴァージン・ロード/渚でクロス」より「ヴァージン・ロード」、金井夕子が「フィーリング レディー」より「ジャスト フィーリング」などなど、今もベスト盤でカンタンに聴ける曲ばかり。
違うのは三木聖子の「聖子」より「ドリーミィ・スカイライン」ぐらいですが、それもファーストLPの曲順を生かしたCDベスト「 三木聖子 ベスト 」の1曲目にそのまま収録されてます。
また、石江理世「放課後」、小林美樹の「悲しい妖精」といったレコードやグラビアでもA級になれなかった方々も入っていますが、いずれもCD化済みです。
基本的にポニキャンのアイドル勢は、NAVを含めほとんどが気軽にCDで聴けますから、お宝音源を求める皆さんには満足できない仕上がりかもしれません。
他社音源も同様で、ザ・リリーズが「小さな恋のメロディー」より「いじわる時計」、岩崎宏美は「あおぞら」より「ロマンス」、高田みづえが「オリジナル・ファースト」より「硝子坂」、榊原郁恵「私の先生」より「私の先生」、高見知佳は「ファースト・デイト」より「シルエット」など。
ただ唯一、井上望だけは「プライベート・タイム」より「青春メランコリー」となっていて、70年代終焉には、アイドルもシングルに頼らないコンセプトアルバム作りをするようになったことがうかがわれます。
しかもこの曲、当初は「 コレクション 」に収録予定でしたが、結局シングルABのコンプベストになったため、CD化のチャンスを逃したんですよね。ノンのファンであった私は、この1曲だけのためにコレを買うことを決意しました…。
それが80年代編の「 デビューアルバムに針を落として・・・ 80年代アイドル編 」になると、LP1曲目にはシングル曲がほとんどなくなります。
アルバム・アーティストであった岩崎良美は「Ring-a-Ding」より「恋するローレライ」、河合奈保子は「LOVE」より「プロローグ」、伊藤つかさ「つかさ」より「ふたりぼっち」、松本伊代「センチメンタル I・Y・O」より「ワンダフル・ハート」、三田寛子は「16カラットの瞳」より「16カラットの瞳」、堀ちえみは「少女」より「夏・SEAWIND」というように、70年代より、コンピの趣旨がダンゼン明確ですねえ。
目玉は、林紀恵の「トロピカル・ジャンプ」より「スペース・カーニバル」でしょうかね。そういや、ワタシ、林紀恵の芸名募集に応募したことがあったなぁ…落選したけど(全然関係ありませんが、欽ちゃんファミリーの一員だった「たみちゃん」こと野崎多美子の芸名「野咲たみこ」はワタシが名付け親の一人です…)。
ということで、趣旨からすると80年代の方がとても楽しめる内容だと思います。
レンタルレコードのおかげで、LPが中高生にとってぐんと身近になった時代でもありますから、当時からちゃんと聴いてたという人は多いはずですしね。
ワタシはこのCD、夏場に聴きたいな。だって、80年代までは新人賞レースに間に合わせるため、大型新人は春先にデビュー、夏までにはファーストLPをリリースしてましたから。真夏の部屋やクルマの中でトロピカルドリンクなんかを片手に聴けば、きっと味わいもひとしおでは?
今年の夏には間に合わないけど、それがベストの聴き方のような気がします。
なお、このシリーズではおニャン子の「 デビューアルバムに針を落として・・・ おニャン子クラブ編 」もリリースされるほか、同時発売として松本伊代、堀ちえみ、倉沢淳美ら本人の名前が出てくる歌を集めたコンピ盤「 女性アイドル自己紹介ソングス 」も出るそうです。
(2006.7.26)