音楽家・千里クンに、エールをおくろう!
実はこの新譜、素通りしてたんです。昔はかなりな千里ファンだったのに…。
その証拠に、前の引っ越しの時、全部のCDを実家に置いてきたほど…。
でも、最近ふとしたきっかけで千里クンの魅力を再発見し買っちゃったので、急きょ紹介することにしました。このベスト「 Sloppy JoeIII 」。
男ユーミンの異名を取った千里クンも、今年で音楽活動23周年。
ワタシは83年の初夏、確か月刊「明星」のモノクロページに載ってた「のび太」顔のプレッピー少年の笑顔を、今でもよく覚えています。もちろん南沙織が好きだという言葉にも共感しましたがね。
それからすぐ、ワタシの地元では全国でもいち早く火がついた感じでした。クラスの女の子に熱心なファンがいて、レコードを借りたり、学園祭に出かけたり、気がつけばその詩世界と音楽性のトリコになっていました。
シングルカットの王様、EPIC・ソニー所属だったからか、最初はシングルの切りようもアイドル並みでしたよね。服も買いたい、ディスコも行きたい高校時代、限りあるお小遣いの中で、その子と二人してレコードをテレコで買ったりしてました…。
そんな昔話はおいといて、今回のベストは名シリーズ「 Sloppy Joe 」「 Sloppy JoeII 」に続く第3弾なのですが、なんとみんなで作るリクエスト・ベスト。
千里クンの全楽曲264曲の中から、リクエストの票数ではなく思い入れメッセージを重視し、ご本人が収録曲18曲を決定したというファン泣かせの企画になっています。
であるからして、かなりコアな選曲。この中でワタシの思い入れと重なるのは「サヴォタージュ」(「1234」)、「年上の彼氏によろしく」(「redmonkey yellowfish」)、「舞子VILLA Beach」(「APPOLO」)、そしておそらくアルバム初収録となる12インチに入ってた「A DAY」(ワタシはCDシングルでも持ってます)ぐらいでしょうか。
かつてライブで「千里くーん」と黄色い声援を送る子たちに混じって「大江~ッ!」と絶叫したこともあるワタシ、98年の「ROOM802」までは全部持ってるんですが、恥ずかしながら以降のCD はほとんど聴いたことがありませんので、2000年代の曲が6曲入るこのベストについてエラそうなことは言えません…。詳しくはオフィシャルページでどうぞ。
おそらく皆さん興味はないでしょーが、一応ワタシの思い入れの深い曲を発表しときますと…、シングルでは、やっぱりブレイクを予感させた味覚糖のCMソング「十人十色」はモチロン、涙なくしては聴けない「フレンド」、“んんっ!”って語尾が好きだった「ロマンス」、野村宏伸&古村比呂のドラマ「あぶない雑居カップル」のテーマだった12インチ「POWER」、真剣さにハッとした「きみと生きたい」、ライブではチョー盛り上がった定番曲「YOU」、初めてたくましさを感じた「GLORY DAYS」、内省的な「これから」、元気ハツラツ納涼天国気分にさせる「おねがい天国」や「たわわの果実」、TBSの朝の情報番組のテーマでCD化を心待ちにしてた「million kiss」、いつも胸のアタリが苦しくなる「ラジオが呼んでいる」や「雪の別れ」などなど。
アルバム曲では、飯島まりんとTVでデュエットした「ガールフレンド」(「WAKU WAKU」)をはじめ、ワタシにとっての胸キュン三連発「かわいいハートブレイカー」と「BOYS&GIRLS」「ふたつの宿題」(シングルカットを含む「Pleasure」)、80年代の青春を感じる“吉田まゆみ”風の「渚のONE-SIDE SUMMER」(「未成年」) 、みさっちゃんのコーラスが素敵な「小首をかしげるTシャツ」(「OLYMPIC」)、デーモン閣下がマジに参戦した「ROLLING BOYS IN TOWN」、最初は千里フォロワーみたいだったマッキーもカバーした「Rain」(いずれも「1234」)、「LOVE REVOLUTION」(「HOMME」)まで、思い出しただけで甘酸っぱい気分になります。
ファーストの「WAKU WAKU」とセカンドの「Pleasure」、そして今見ると、ジャケットがホー○イ手術の広告のようなサード「未成年」の3枚はホントすり切れるほど聴きましたね。通して振り返ると、トータルで大好きなのは「1234」と「redmonkey yellowfish」かな。
みさっちゃんを筆頭に女性アーティストのコラボも多くて、EPOと絡む「宵闇」など(「WAKU WAKU」)をはじめ、ター坊とデュエットした「向こうみずな瞳」(「redmonkey yellowfish」)、麗美の“DESTINY”にドキッとする「木枯らしのモノクローム」(「六甲おろしふいた」、シングル「ありがとう」カップリング)など、かなり上質です。
しかし、残念なのは、幾多の名盤もほとんどが廃盤になっているという事実。やるせない、というより、思い出の詰まったアルバムたちを長いこと聴き返すこともなく、放っておいた自分を責めるワタシでありました…。
先日もビデオクリップ集のDVD「SENRI CLIPS」を見ながら、さめざめと泣いたりして…。
ワタシの場合、千里クンのソングライターとしての才能にも惹かれていて、提供曲にも大好きなものがいっぱいです。
たとえば「ソナチネ」(松本伊代)をはじめ、10代のハートにグサっときた「悲しいボーフレンド」や作曲のみの「すき」(渡辺美里)、これまた作曲のみの「凍った息」「雛菊の地平線」(松田聖子)や、名曲アルバムにも入れた「ちいさなBreakin' my heart」(渡辺満里奈)、プロデュースした山上ジュンと共作の「負け犬」、日本語詞を担当した「恋人たちの祈り~GET AWAY」(太田裕美withゴスペラーズ)、やまだかつてないWINKの「クリスマス クリスマス」などなど…枚挙にいとまがありません。
ホント、千里クンの曲に、ずっと励まされてきたなと実感。
あ、今思い出したんですが、先日お亡くなりになった宮川泰先生は、聖子の「Pearl-White Eve」が出た当時、この曲の構成の素晴らしさを大絶賛しておられました。
バンドブームで、職業作家さんの居場所がますます少なくなってきた頃、雨後のタケノコみたいなソングライターの台頭に苦言を呈することも多かったんですよね。
でも、千里クンのまっとうな音楽性をたいそう評価なさってらした。ワタシはそれを聞いてとてもうれしかったものです。
最近もヒロリンに書いたり、ピアニストとして活動したり、地道にコンスタントなリリースを続けている千里クン。ワタシの希望としてはやっぱり第一線にガンガン出てきてほしいです。
と言っても、昔ワタシが勝手にライバル視してた槇原敬之みたいに、という意味ではありません。
だって、こうやって改めて聴き直してたら、マッキーなんかに負けるな!なんて全然思わなくなったもん。それは、千里クンは、真の詩人であり真の音楽家であることを確信したから。
後世に残る、いや、残していかなきゃならない人なのですね。
今もなお頑張り続ける、そんな千里クンに、今度はワタシたちから…フレー!フレー! エールをおくろう♪
(2006.4.25)