涙なしには語れない、悲運の少女たち
今年のアイドル・ミラクルバイブルシリーズ、第3弾ともなるとどんどんマニアックC級化&時代が進んじゃってハッキリ言って全然食指が伸びないんで見送ろうと思ってたのですが、本田さんの件もあって、ワタシと同い年のアイドルは他に誰がいたっけ?なんて考えてたら、河上幸恵の存在を思い出したんですね。
で、「 河上幸恵&若林加奈ベスト 」をご紹介。
河上幸恵と言えば、何と言っても「スター誕生!」に尽きるのではないでしょうか。
同い年にしては大人びた(とゆーか地味で暗い)雰囲気でテレビ予選会に臨んだ彼女。どこか百恵ちゃんに似た面差しの通り、「いい日旅立ち」を歌ったんですね。
その歌声はルックス通りの落ち着いたアルトで、スタ誕史上でも抜群の安定感が感じられました。自称お茶の間審査員のワタシは、最初の2小節で「この子受かるゾ!」と確信したものです。
それが中盤、なんと歌詞を忘れたせいか急に詰まって歌えなくなってしまったのです。失敗を悔やむ余り、両手で顔を覆う河上さんの姿に、深くうなだれるワタシでした。しかし、それでは終わらなかった。
サビの部分でおもむろに歌い始める彼女。それも何事もなかったかのように、しっかりと…。
ワタシはいたく感動して、その度胸とともに百恵ちゃんの再来を予感したのでありました。聖子でも朱里でもないよ、これは!と。
案の定、決戦大会ではグランドチャンピオンとなって、ホリプロへ。予選会以来すっかり魅了されてしまったワタシは、指折り数えてデビューの日を待ちました。しかし、待てど暮らせど知らせは来ない…。
2年以上経った83年、すっかり忘れた頃、「ブルー・エトランゼ」という歌でデビューした彼女からは、もうあの日の魅力は感じられなかったのですね。
このへん清水由貴子の教訓がなぜ生かされなかったのだろう。半年以内に出ていたら、スターになっていたとは断言できなくても、確実にヒットを飛ばしていたことと思います。
と悲しい思い出になってしまうんですけど、さらに悲しいのは第3弾から。「DOKI DOKI」と続く「ハートのねじ」ではHP25(ツトム)なんていうロボットとテクノ歌謡してしまったこと。
どう見てもキャラじゃないし、ウマイのにノれてないので、公開録画の番組なんかではピエロのようで痛々しかったです。で、歌はシングル5枚でオシマイ…。
CDで通して聴いたら、あの悲しみは癒えるのだろーか。
一方、若林加奈も悲運な印象でした。85年組では抜群の声質と歌唱力だったし、亜美ちゃん作品のデビュー曲「PIRA★星物語」はさわやかでファンタジックで、とてもキュートな声をフルに生かした仕上がりでしたけど、写真写りがひどかった…。
カマボコ目というかハニワ目というか、思春期でぽちゃっとしていたせいもあるんだろうけど、「明星」の新人集合ページでは、見なかったことにしたい有様でした。同姓でよく混同されてた若林志穂が、子役上がりの可愛さをまき散らしていたせいもありますけどね。
結局、彼女は4枚のシングルを残してフェイドアウト。最後の「COOL~アナタガタリナイ~」は、いとうせいこう作詞、サザンの大森さん作曲、B面はEPO作にして高見知佳のカバーという通好みな1枚でした。
うーむ、これは涙なくしては語れないCD化ですな~。しかし、買う人って多いの? 当時を知ってる人だけでも少ないと思うのですが…。
なおコロムビアからはワタシと同郷の「 国実百合ベスト 」や、える(大橋恵理子)や水谷絵津子、谷ちえ子らを収録したオムニバス「 コロムビア・アイドル・アーカイブス~女の子編 Vol.1 」が同時発売。いずれも、大阪でDJやアイドルナイトなどもやってるまあくん(藤原正弘氏)の監修とのことです。
シリーズとしては、ソニーから一足先に「 アイドル・ミラクルバイブルシリーズ 相楽晴子ベスト・チューン 」「 アイドル・ミラクルバイブルシリーズ 高橋美枝・渡辺千秋・村田恵里 シングル・コレクション 」「 アイドル・ミラクルバイブルシリーズ 中山忍 」「 アイドル・ミラクルバイブルシリーズ 宍戸留美 」「 アイドル・ミラクルバイブルシリーズ Qlair Archives 」が発売。
キングからは昨年暮れより発売延期の末やっと日の目を見ることになったボックス「 岩井小百合DREAMBOX 」がリリースとなっています。
(2005.11.8)