倒錯乙女の魑魅魍魎、いま懐古する怒濤の恋愛。
ソニーのお買い物・アルファ音源から、ようやく戸川純ちゃんの復刻が始まります。
関連も含め全9タイトル、各2310円、紙ジャケの完全生産限定盤です。やっぱワタシの10代後半は純ちゃんとともに…みたいな感じがありましたから、そんな思い出を振り返りながら紹介してみましょう。
純ちゃんとワタシの出会いは、82年、中3の時。友人から借りたゲルニカの「 改造への躍動(紙ジャケット仕様) 」でした。
メンバーの戸川純はビートたけしのドラマ「刑事ヨロシク」に出てたということから興味を持ち、聴いたわけです。そしたらば、ゲルニカの音楽は大陸的な懐古趣味なんだけどもとても前衛的。
躁鬱気質の中に上品な狂気と不協和音が充満していて、ワタシは「工場見學」という曲のギリギリ回る歯車の音に吐き気を催し卒倒しそうになりました。
それでも恐いもの見たさで何度か聴くうち「夢の山嶽地帯」のワインを詰めた水筒に憧れたり、♪ワンダーフォゲル、ヨロレイヒ~などと歌うほど魅了されてしまったのでありました。
そんな衝撃の出会いから1年、純ちゃんはいよいよソロデビューとなるのです。それが不朽の名作「 玉姫様(紙ジャケット仕様) 」。
ホソノさんのご寵愛を受け、おしりだって、洗ってほしいのCMも評判を呼び、時代の寵児と騒がれた純ちゃん。テクノ、ニューウェイブ、パンクが渾然一体となって、そこは魑魅魍魎の夢の世界。樹液すする蛹化の女が怒濤の座敷牢で悶絶するうち、一塊の肉塊になるような感動作だと、隣りの印度人や森の人々も絶賛、みたいな仕上がり…などという意味不明な比喩が適当だと思います。
「諦念プシガンガ」がもいいけど、やっぱパッヘルベルのカノンの「蛹化の女」がイチバンかな。実は下校の音楽がコレだったんで、よく純ちゃんの詞をのせて歌っておりました。
そして当時カセットテープのみで発売されたのがライブ「 裏玉姫(紙ジャケット仕様) 」。
ワタシは故郷で行われた玉姫様ツアー初日に出かけ、えらくコーフンしましたけど、その感動がよみがえってきます。ありがとうございますを繰り返すMCや、「電車でGO!」のカワイイこと。
ラストの「パンク蛹化の女」も大好きでした。スタジオ録音とは比べものにならない純ちゃんのイッちゃってる加減が素敵でございます。
もう1枚、これまた大好きなアルバムが「 極東慰安唱歌(紙ジャケット仕様) 」。
最初のCD化の際に「家畜海峡」「人間合格」が追加収録されちゃって、フルアルバムみたくなりましたが、ホントはミニアルバムだったんですよね。エーンエーンエーンと目の玉から涙がこぼれ落つるやふな「眼球綺譚」、沖縄民謡風の「海ヤカラ」、ゴビへの思慕を歌った「無題」をはじめ、純ちゃんの母校の運動会応援歌などなど、ぐんとソフトになっていて聴きどころ満載です。
ワタシはこのアルバムの告知ポスターが印象に残ってまして、アルバムを聴くたび、英字新聞柄のワンピースを着た泣きそうな純ちゃんを思い出します。
と、まあ、ゲルニカ以降のソロ3枚をご紹介いたしましたが、このほかにもソロ「 好き好き大好き(紙ジャケット仕様) 」とベスト「 東京の野蛮(紙ジャケット仕様) 」、CM企画から誕生したホソノさんプロデュースのユニット・アポジー&ペリジー(三宅裕司とのコンビです)「 超時空コロダスタン旅行記(紙ジャケット仕様) 」、ゲルニカの相方・上野耕路さんの「 Music For Silent Movies(紙ジャケット仕様) 」、そして今はなき妹・京子ちゃんのソロ「 B.G.~NEO WORKING SONG~+(紙ジャケット仕様) 」までが復刻されます。
ゲルニカと言えばテイチクから出てた「GUERNICA BOX ~ゲルニカ20周年記念完全盤~」の方が、原点の「蘇州夜曲」なんかも入ってるし、全50曲以上収録の3枚組なのに4,200円と超お買い得だし、絶対オススメしたいんですけど、権利関係の問題で廃盤になってます…無念。
あと、せっかく復刻するなら、つくば博のパビリオン(ダイエー館でした?)のテーマ曲だったシングル「ポエジー」(退廃的な名曲です)とか、NHKみんなのうたの「ラジャ マハラジャー」も入れてほしかった…。
余談ですが“まあ!まあ!”の台詞が素敵な「ラジャ マハラジャー」、CDになっていないんで、ワタシは昔FMからエアチェックしたテープを今でも愛聴していますけど。最近トリビアの泉でどっかの国のサッカー協会会長さんである・ニャホニャホタマクロー氏のテーマソングみたくなってて驚きました…。
権利の問題はあるとは思うけどまだまだ変更は間に合うと思うので、ソニーさん、収録曲の追加はいかがでしょう。
あ、ついでに森田芳光監督による映画のないサウンド・トラックも復刻してほしい。純ちゃんのほかに太田裕美なんかも出てますしね。
(2005.12.10)
※CDと同時にDVD「
玉姫伝~ライブ含有 [DVD]
」「
TOUR-LIVE ’85~’86 [DVD]
」も発売されます!(2006.2.17追記)