永遠の名作ドラマ、ついにDVDで登場!
音楽作品ではないのですが、ヒデキにミヨちゃんも出てるし、劇中歌もあることだし、紹介することにしましょう。
TBS水曜劇場、向田邦子原作、久世光彦演出で74年新春にスタートし同年のテレビ大賞も受賞した人気ドラマのBOXシリーズ、第1弾「 寺内貫太郎一家 DVD-BOX 1 」。
これは「1」という通り、全39話中12話までを収めた4枚組で、各ディスクに3話ずつ収録。なんと初回盤には特典として「はんてん柄特製寺貫Tシャツ」が付きます。
箱には手が届かない…という方や、寺貫をよく知らないという人もはバラ売りも出るみたいですので、そちらをどうぞ。
なお、ボックスは今後「 寺内貫太郎一家 BOX(2) [DVD] 」「 寺内貫太郎一家 BOX(3) [DVD] 」と発売予定となっております。
ワタシ、放送開始時は小学校に入る前でしたけど、わが家のお茶の間は水曜劇場ファンでしたし、ワタシもミヨちゃん目当てに初回放送から見た記憶がしっかりあります。
90年には2話分だけビデオ化されておりましたし、03年からTBSチャンネルで幾度か放送されていますので、貴重という感じはしないのですけど、ホントに名作中の名作だと思うので、未見の方にぜひ見ていただきたいのです。
平均視聴率が30%を超えたこともあって翌年にはキャストや設定を変えパート2が作られましたし、平成に入ってCMやドラマの続編が放映されたり、舞台化されたり、いろいろありましたけどワタシはやっぱこの74年版パート1がベストだと思います。
向田さんの胸にしみいるストーリーやシチュエーションが素晴らしいのは当然として、このドラマの真骨頂はやはり久世さんのキャスティングと演出の力でしょうね。
それは、マジメで純情なんだけど照れ屋でふざけてしまう…みたいな、久世さん一流のやり方。一見行き当たりばったりのようでいて、実は緻密に計算されている、それも嫌みなく…。
ワタシなんかがエラそうに言うことではないですけど、人として誠実に生きようとしてる人なら、このへんの感覚は絶対琴線に触れるはずだと思います。
「よせよう、寺内!」「きったねえなあ、もう!」とか、「…」「どしちゃったんですか?忘れちゃったんですか?」なんていう掛け合いも大好きですなんですよ、ワタシ。
寺貫と言えば、茶の間乱闘とか、ヒデキ骨折を思い出す人も多いようだし、ドタコメみたいなイメージが強いのでしょうけど、ワタシが惹かれてやまないのはそういう見た目のおもしろさだけではありません。
このドラマには昭和という時代まで確かにあった日本のこころ、言うなれば戦前から正しく生き抜いた人たちが大切に守ってきた日本の良心というものが、いろんな形できっちり表現されていると思うのです。
坊主頭に半纏姿になるまでは、向田さんと里子役の加藤治子が大反対していた貫太郎役・小林亜星はもちろん、「ジュリーッ!」でおなじみ悠木千帆のおきんばあさん、ヒデキの周平、美しく健気な梶芽衣子のシーちゃん。そして伴淳のイワさん、とん平のタメさん、由利さんの花くまさん。ダンマリのお兄さん・横尾忠則も、篠ヒロコ(ひろ子)のお涼さんも、もちろんおさげの相馬ミヨコも。
みんな生き生きと、分相応に、それぞれの人生を立派に美しく生きている。
このドラマの醍醐味は、ホームドラマにありがちなぬくもりや家族ごっこみたいなノスタルジーではなく、厳しくそして優しく、現実を受け入れる視点ではないかと、30年以上経った今、ワタシは思います。
なぜなら、ここでは親子夫婦の情愛や嫁姑のイザコザも、年頃の娘の貞操や結婚問題も、住み込みという仕事も、バツイチやハンディキャップも、すべてが人の日常に存在しうる当たり前の出来事として描かれているから。
ワタシは全39話、貫次郎という設定以外はすべて好きで、「寺内石材店」を取り巻く人々のことを思うといつも涙してしまいます。
もうひとつの醍醐味は、やっぱり音楽。大野克夫さんです。井上尭之バンドによるオープニングテーマはやはり横尾忠則のタイトルバックと合わせて楽しみたいですね。
サントラが昔CD化されてたんですけど今は廃盤です。
あとはもちろん劇中歌ですね。最初はご存じ「しあわせの一番星」、ヒデキとミヨちゃんの屋根の上でのデュエットが見物です。
次は明星募集歌の「虹の架け橋」(ホントはB面の「きょうは留守番」がふさわしい)ですが、ミヨちゃんのレインコート姿で歌う回は最高にカワユイです。
後半になると、劇中で「リンゴがひとつ」をみんなで歌ったりしてます。
音楽だけ楽しみたいという人は、「 TBS 水曜劇場の時間ですよ 」や大野さんのコンピ「 大野克夫 テレビ編~傷だらけの 」(パート2がメインです)、ミヨちゃんの「 GOLDEN☆BEST/浅田美代子 」でどうぞ。
原作も最高に素晴らしいので、文庫本「」もぜひぜひお読みください。当時、向田さんが脚本までを手がけた回のシナリオ版も発売されていたのですけど、それもホントによいのですが絶版。図書館の閉架にあるかもしれないので、ご興味がおありの方はぜひ。
(2005.11.25)