Forever,Golden Days! うたごころは永遠に…
こんな形で触れることになって、とても残念です。でも、ワタシはこれからも本田さんが遺した歌をずっと愛聴していきます。だって、彼女が残してきた歌にはいつでも会える。そして、いつでも彼女の永遠不滅の魂に触れることができるのだから。
そう信じて、この2枚セット版「 CD&DVD THE BEST 本田美奈子(DVD付) 」をご紹介しましょう。
コレは追悼盤として企画されたのではなく、CD&DVD THE BESTシリーズ中の1作として当初からリリースされることが決まってたのですが、今となっては哀惜の涙を禁じ得ません。
スタ誕や長崎歌謡祭はおいといて、ワタシが初めて「本田美奈子」を意識したのは、忘れもしない85年4月。TVで見たデビュー曲「殺意のバカンス」は、ホント衝撃でした。
ボンド体形と申しましょうか、ただでさえか細いのにミニのスカートが小枝のような肢体をことさらに強調してたにもかかわらず、聞こえてくるのは腹の底から出ている野太い声。
筒美作品ということもあって、ワタシはすぐさまファンになったものです。
CDの方にはそのデビュー曲はもちろん、賞レースに滑り込んだ「Temptation(誘惑)」や大ヒット曲「1986年のマリリン」「Oneway Generation」をはじめ、ご本人主演の映画「パッセンジャー」の主題歌となった「孤独なハリケーン」、キヨシローちゃん提供でガールズロックバンド結成に突っ走った「あなたと、熱帯」、そして80年代最後のシングル「7th Bird“愛に恋”」まで、東芝時代の本田さんの軌跡をザクッと網羅。
実はワタシが最も好きな曲が欠落しているんですけど、彼女の勢いは十二分に伝わる内容だと思います。
この中では大村憲司のアレンジとプレイがスリリングな「悲しみSWING」がイチバンでしょうか。
シングルA面以外では「M'」「ハーフムーンはあわてないで」「キャンセル」「カシスの実」「ONE SHOT」などを収録、全17曲で80年代の本田さんの変遷を堪能できるでしょう。
ちなみに東芝時代のシングルを通して聴きたければほぼコンプの「 本田美奈子 ゴールデン☆ベスト 」がオススメですし、フルコンプにしたいなら、ちょっと入手困難みたいですけどCD6枚+DVD1枚の計7枚組「 本田美奈子BOX 」をどうぞ。
一方、DVDはと言いますと、デビュー曲のB面だった「恋人失格」のほか大ヒットを3曲、そしてクイーンのブライアン・メイが手がけた「CRAZY NIGHTS」のクリップと、計5曲入り。
今となっては武道館で熱唱しまくる姿が痛々しく感じてしまいます…。なお、本田さんの映像作品は「 MINAKO/ザ・ヴァージンライヴ IN BUDOKAN [DVD] 」「 DISPA 1987 [DVD] 」「 ドラマティック・フラッシュ [DVD] 」が
04年秋にDVDで復刻されています。
ワタシはアイドル時代の本田さんも大好きですが、やはり94年に出たマーキュリー移籍作「JUNCTION」が、彼女の現在・過去・未来が詰まっていてダントツに素晴らしいと思ってます。
廃盤なのがツライですけど、大半は東芝時代のヒットをプラスしたベスト「 LIFE~本田美奈子プレミアムベスト~(通常盤) 」で聴けます…。
あと、並々ならぬ努力の賜物であるクラシック盤「 AVE MARIA 」「 新世界 」「 時 」はいずれもとてもよい仕上がりなのはもちろん、ジャンルにとらわれない本田さんの歌への慈しみがあふれていて、クラシックというより、人が奏でる「うた」として、誰もが素直に感動できる作品だと言えるでしょう。
クラシックが苦手だという人にこそ、ぜひ聴いてもらいたいアルバムですね。
それでもフルアルバムは…という人は、亡くなる直前に出た、遺作「ララバイ」やライブ映像収録のCD&DVDのミニベスト「 アメイジング・グレイス (DVD付) 」を…。和製マドンナと呼ばれた本田さんしか知らないっていう人にこそ、聴いてほしいです。そして、しみじみと味わってほしい、彼女の希有なうたごころを。
もちろん、ワタシもそうすることにします、今から。
(2005.11.7)