八重歯健在? 昭和ナベプロ時代のルミ子A面コンプ!
南沙織のファンだった幼児のワタシは、他の新・三人娘をライバルと見なしていた…。だから当然好きではなかったのだが、今度はどんな新曲でどんな衣裳か、シンシアより売れたのか、なんてことをいつも気にしてたのですね。
ですから、ルミ子も真理ちゃんの歌も、意外によく知っております。
大スターばかりを輩出していた王国・渡辺プロダクションに入りたい一心で宝塚音楽学校を首席で卒業、歌劇団には入らず芸能界入り。並々ならぬプロ根性の持ち主であり、芸の精進を怠らぬ努力家…。
そんなレッテルがあった彼女は、れっきとしたアイドル人気もかなりのものでしたが、真の実力派でしたね。
独特の野太いファルセットを生かし、ディスカバー・ジャパンブームにのっとった日本情緒あふれる歌の数々。今聴いてもよい曲ばかりです。
で、今回、通販の「小柳ルミ子CD-BOX」以外では初となるシングルA面コレクションの2枚組「 ゴールデン☆ベスト 小柳ルミ子 シングル・コレクション 」。
ナベプロがパイオニア、キング、ビクター、新星堂といろんな会社と発売契約を結んできた今度のお相手はソニー。ということで、ルミ子がナベプロに在籍していた頃の音源(厳密に言えば、ワーナー・パイオニアに復帰する88年まで。ソニーは昭和年間と銘打っている…)だけですので、完全版ではありませんが、必携のお買い得盤と言ってしまおう。
「わたしの城下町」「お祭りの夜」「雪あかりの町」「瀬戸の花嫁」「京のにわか雨」「春のおとずれ」などなどビッグヒットのオンパレード。初期でワタシが好きなのは、「恋にゆれて」と思われがちなんですけど、違います。「漁火恋唄」と「冬の駅」ですので…。
月刊明星&平凡の表紙を幾度となく飾ったルミ子ですが、「恋の雪別れ」あたりから、本格的に演歌の部類になってしまったよーに思います。「桜前線」なんか大好きだったな。
まあひっくるめてワタシが好きなのは、名曲アルバムでも取り上げましたが「思い出にだかれて」です。
それと、やはり筒美先生の「来夢来人」。ジュディ・オングの「魅せられて」の大ヒットに臍をかんだルミ子が、たっての希望で書き下ろしてもらったそうなんですけど、その執念が感じられる1曲。
実はコレ、最初は松本隆の詩がついていたのだとか。しかし、例の渡辺晋さんの社長ご試聴会の際、「暗い!」の一言でボツに…。代わって岡田冨美子が起用されたそうです。
まあ後期に返り咲いた「お久しぶりね」や「今さらジロー」、石川ひとみの「恋」を焼き直した「乱」も、いま聴いてもよい曲です。ルミ子(今はrumico?)は恵まれてますね、曲に。
なお、これ以降の曲も聴きたければ、高山巌との名曲デュエット「夜明けの伝言」が入った「 ニュー・ベスト 」を、アイドル時代の録音をもっとと言う場合には、叙情歌を集めた「 女ひとり 」がオススメです。
(2005.2.5)