たゆまぬ努力で建立された、歌手の記念碑!
本田美奈子を初めて見たのは「スタ誕」だったと思うけど、同い年というひいき目を抜きにしても、ふうんってな感じでした。
予想は当たって落選…だったのに、いつの間にかイマドキ風の女の子っぽくなってデビューしてました。
確かまだ発売になってない時期にTVで見た「殺意のバカンス」、その堂々とした歌いっぷりに、そのへんのアイドルとは全く姿勢が違うなあと見直したことを覚えてます。
筒美作品であること。高校生のワタシにとっても、それだけでポイントが高かったのですけど、伊藤咲子を彷彿とさせる発声もなんか感慨深くて、ファンになってしまったんですよね。
月刊明星に載ってたデビュー曲の広告コピーは「好きと、言いなさい。」。よかったなぁ…。
で2ndシングルはそのキャッチコピーがタイトルになったんだけど、デビュー時に既に出来上がってたんでしょう。
余談ですが、ワタシ、この「好きと言いなさい」は忘れられない。確か日テレの番組で、この曲を歌ってるのを見てたんですね。そしたら本田さんの頭の上にニュース速報のスーパーが…。そう、日航機墜落事故の日だったんです。
個人的にこの出来事は悲しみがつきまとうものでありまして、85年8月12日、この夜TVで見た黄色の衣装の本田美奈子は一生忘れないと思います…。
そんなマイ・メモリーはともかく、デビュー20周年、ついにCD6枚+DVD1枚の計7枚組「 本田美奈子BOX 」の登場なのです。
実績から言っても、「ゴールデン☆ベスト」とか「2000ベスト」でおさまる人ではないし、これまで出なかったのが不思議なくらいですが、名曲がとにかく多いのですよ。
1曲を挙げるとすれば「涙をF.O.して…」か「青い週末」なんですけど、ゲイリー・ムーアの「愛の十字架」、ジャジーな「悲しみSWING」など、数々の名曲がバブリーな想い出とともによみがえってきます。
バブリーと言っても、彼女の歌は本物。ミュージカルや最近の「AVE MARIA」「時」などクラシックへのシフトを見ても相当な努力家であることが伺えます。ワタシ、努力する人って好きなんです。
惜しむらくは、って東芝コンプリート(やや抜けてるらしいけど)なのにそう言っちゃいけませんが、移籍して「つばさ」で復活した以降の作品もこの際まとめてほしかった…。
かの岩谷時子さんが肩入れしたアルバム「JUNCTION」なんて、オーバーな表現もあるけどかなりシブイ名盤です。ワタシは「風流風鈴初恋譚(ふうりゅうふうりんはつこいばなし)」を聴くたび彼女の底知れぬ埋蔵量の凄さにゾッとしてしまいます。
ともあれ、たった5000セットという限定盤ですから、どうぞお早めに。将来、本田美奈子がどこまで突き進むかは分かんないけど、家宝になるのは間違いないはずだから。
(2004.11.18)
*本田美奈子さんは2005年11月6日、急性骨髄性白血病のため逝去されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。(2005.11.7追記)