疑似的黄色魔術楽団 電子音楽歴史
ご本家編と同じく田中雄二さん監修、イエローマジック・シリーズと銘打ちながら、YMOの3人はまったく関知していないという、テクノ歌謡集「 テクノマジック歌謡曲 」。
この際出してしまえ!というあざとさに非難の向きもあるらしいのですが、こんな楽しいコンピ盤なら、ワタシは大歓迎です。
このチャンスを逃せば、今度いつ復刻されるかワカンナイ名曲もテンコ盛り。また、インディーズではなくメジャーレーベルがこういう企画をやること自体、素敵ですもんね。
2枚組の28曲、肝心の中身はと言いますと、ソニー系が中心なのですがけっこうスゴい。
アパッチの「宇宙人ワナワナ」から始まって、フィーバーの「デジタル・ラブ」、バラクーダーの「あららこらら」などキョーレツなテクノ歌謡が満載。
先ごろアイドル・ミラクルバイブルシリーズの「ベスト」が出たんでレア度が低くなってしまったけど、比企理恵の「想像力少女」も入ってます。
アイドル勢では、ホソノ的な真鍋ちえみやムーンライダースの鈴木さんご寵愛の渡辺美奈代はともかく、堀ちえみ、三田寛子、原田知世ら、一般にはテクノと無縁と思われるビッグ・ネームの面々がしっかり電子音楽しちゃってるのも聴き逃せませんね。
ワタシがおススメなのは、チロリンの「途中にしてね」。コレ、88年あたりにテレビ東京系でやってた資生堂提供の情報番組「エクボ堂」のテーマ。
元シブがき隊のモッくんと兵藤ゆき姉が司会で、オリーブのTV版という感じだったのですが、ワタシ、この曲聴きたさに見てました。
今回の収録曲を見て涙してしまった名曲、ココロにやさしくてカワユくて、ホントに聴きものです。
そして、ピンク・レディーの「AMENIC-逆回転のシネマ」。ラス2のシングル「ラスト・プリテンダー」(コレは正真正銘のイエロー・マジック歌謡)のB面なんですけど、全部がモロにパクリなんです。
その頃(81年)、そのオリジナルと思われる曲をCMで聴いた時には、あ、PLはカバーだったんだと思っていた…。
コレ、八神純子「パープル・タウン」以来の衝撃だったんですけど、PLはヒットしなかったし話題に上ることもなく、八神さんのように共作のクレジットを追加しちゃうこともなかった…。
あとは84年発表、太田裕美の問題作「TAMATEBAKO」から、伊勢丹'84夏のキャンペーンソング「夏へ抜ける道」や、魔法使いサリーのよし子ちゃんのダミ声を意識したという「チラチラ傘しょって」という2曲がお目見え。
ブッとびなサンプリングとピコピコ音が炸裂、不協和音がヘンにドーパミンを分泌しそう。あ、残念ながら「TAMATEBAKO」は生産中止になったらしいので、未聴の方はこのCDでぜひ。
(2004.12.8)