厳しく美しい、ベスト・オブ・愛聴盤2004
いろんなことがあった2004年、ワタシがイチバン聴いたCDはなんだろう。
ケツメイシかはたまたCKBか、それともいつものシンシアかしらん…年の瀬、そんな風にこの1年を振り返ってみた時、今年のワタシに寄り添っていたCDがこの「 Library ~Anthlogy 1973-2003~ 」だったことに気づいて、たいそう驚きました。
ター坊は昔から大好きですし、アルバムはほとんど持っています。
けれど、いつも夢中で聴いているワケではありません。けれど、気づけばいつも求めている声なのでした。
この2枚組ベストはシュガーベイブ結成から30周年を記念したもの。デジタル・リマスタリングされているのはもちろん、ボーナストラックを含む33曲が年代順に収録されたお買い得盤です。
ご本人による解説があるのもウレシイ。
声という楽器が大好きなワタシにとって、ター坊の声は“闇夜の月あかり”みたいな気がする。
ポップの元祖の街にいても、おフランスでアンニュイにカード遊びをしてる時も、アフリカでパズルを解いていても、テクノの国からこんにちはをしたって、ウサギや山弦とひとつになってさえいても…いつもター坊は同じ真摯さを持ち続けている。どんなときもその背筋はピンと伸びていて、とても厳しく美しい孤独の中にいる。
そして、それは自然というものに、とても似ている。
あと、ワタシが胸を打たれるのは、他者との距離感。自分のスタンスをキチンと持っていて、仲良しとやるときも、決して馴れ合いにならない厳格さ。
人であれ物であれ、思いであれ、必要のないものは、容赦なく捨て去る(断腸の思いはあるだろうが、それは見せない)。
それもまた、自然がさまざまなものを淘汰する姿に、とても似ている。
そ う考えると、ター坊の真理を追求するたたずまいは、神の禊と同質ではなかろうか、なんて感じてしまいます。
いつの間にやら一番大切な芯というものがなくなり、生き恥をさらしても平気の丙座になってしまった現代日本にあって、宇宙における人間としての生き方を問うているような。
特に「春の手紙」を聴くたび、いつもそんなことを思う。鶴ちゃんの顔もよぎってしまうけど…。ター坊はきっと「そんなことはございません」とおっしゃるでしょうけど、ワタシはいたくそう思うんですよね。
ベンガルに似てたって、心底美しい人だもの、ター坊は。
ところで、ワタシがこれまで身近なところで憧れてきた人は、なぜかみんな一様にター坊の歌のような人ばかり。みんな姿かたちも雰囲気も全く違うのだけれど…。
そしてワタシ自身は、このアルバムには入っていないけど、「チェッカーくん」(「 Comin’Soon 」に収録)のような人になりたいと思っています。
05年2月に発売される2年ぶりのニューアルバム「 One Fine Day 」には「春の手紙2005Version」が収録されてるそうで、ホント楽しみです。
そんなことを書いてたら、アッコちゃんとのデュエット「ウナ・セラ・ディ東京」(矢野顕子「 reverb 」に収録)を聴きたくなってきた…ところで04年よ、さようなら。
(2004.12.28)