これを逃したら二度と手に入らない…名盤です
ソニーの廃盤復刻サイト・オーダーメードファクトリー。賛否両論いろいろあるよーですが、ワタシは正直とてもウレシイし、感謝しております。
CD選書シリーズが凍結してしまった時は、もうシンシアの復刻は無理かななんて意気消沈したものですから(と言いつつ太田裕美はしっかりCD選書化されました、約束を守る企業姿勢?)。
まあ、当初は企画というかシステムの甘さとかもあったようですが、無事、南沙織ドーナツ盤コレクション、久保田早紀の残りのアルバム、そしてシンシアと、どうにか軌道に乗ってきたみたい。
そして今回のシンシアなのです。
まずは「 Hello! Cynthia 」。77年のシンシアというと、事務所をバーニングからT&C(PLが在籍)へと移籍、心機一転リフレッシュをはかった年。ヘアスタイルも、長年親しみ過ぎてダサくなってたセンターパーツから、当時流行のサーファーっぽいレイヤーにチェンジ。さわやかに明るく変身を遂げたんです。
サウンドもそれにならい、当時シミケンでヒットを連発していた、つのだひろ(まだ☆は入ってなかった)を起用。オールデイズのムードあふれる「街角のラブソング」をシングルとして発表するなど、地味なフォーク志向だったそれまでの数年を振り捨てる感じでした。
そんな背景をベースに制作されたアルバムだけあって、有馬三恵子+筒美京平が展開したあのPOPなシンシアワールドを、ご両人の手は借りずに焼き直し、ステップアップしたような雰囲気。
ただシンシアの節回しの変なクセ(コレ、つのだひろのデモテープなのせいなのかなぁ…)が気になるかも。
なるほど、前作「午後のシンシア」で筒美がえりをしたのは、新境地を開くために一度リセットをする必要があったからなのですね。
重たいフォークの衣を脱ぎ捨て、軽やかなニューミュージック、シティ・ポップスの世界へ。これがあったからこそ、翌年の「春の予感」のヒットへとつながっていったように思います。
お次の「 SAORI ON STAGE 」も必聴盤。
毎度のようにやめるやめると公言しながらなんとか7年目を迎え、メロウになったシンシア、77年9月、東京芝郵便貯金ホール(現メルパルクホール)で開催された「Hello! Cynthia'77」コンサートを収録のライブ盤であります。
もう円熟と言っていいほどの仕上がりというか、老成感あふれる好盤だとワタシは思ってます。なぜなら、シンシアの集大成というべき内容になっているから…。
オープニングはロッキーのテーマからスタートするこのコンサートは、アバ、レオ・セイヤーなど当時の最新洋楽ヒットに加え、シュープリームスやジャクソン5のちょい懐かしモータウン・カバーを散りばめながら、「17才」「早春の港」「色づく街」などを「A Song for You」「I Believe in Music」でつなぐヒット・メドレー、そしてずっと傾倒していたジャニス・イアンのコーナーなどで構成と、聴きどころが盛りだくさん。
秀逸は、珍しく日本語で歌うバリー・マニロウのカバー「歌の贈り物(I Write the Song)」でしょう。さりげなく引退をほのめかすMCの後、万感の思いを込めて歌う姿に、ワタシはシンシアは今度こそ本当に引退するだろうなと確信したものです。
と言いながら、当時はキャンディーズの解散、引退が決まった直後で、次はいくらなんでも南沙織だろうというムードだったんですよね。兄が読んでた「蛍雪時代」にも書いてあったもの、南沙織の引退は時間の問題だと…。
唯一、残念なことがありまして。このコンサートではジョニ・ミッチェルやバーブラ・ストライザンド、イーグルス、スティーヴィー・ワンダーなんかも歌ってるんですよね。ワタシがアバでイチバン好きな「Knowing Me,Knowing You」も歌ってる…。
75年以降では「ジャニスへの手紙」以外はすべてオリジナル・アルバムで初期のような洋楽カバーはなかったから、このへんが音盤として残ってたら…というのはワタシの永遠の願いであります。
ま、そういう感じの2枚、ファンという欲目抜きにも、自信をもって推薦できる作品です。一切市販はされない完全注文生産なので、ぜひぜひお早めにオーダーしてくださいませ。
規定枚数に達しなかったら却下されてしまうので、そういう焦りを感じつつ、紹介してみました。
(2004.11.1)