YMOの遺産、本家本元テクノ歌謡集!
これぞ、ソニーのアルファ音源窓口化の副産物。2003年に一気に出たソニーのYMO復刻盤は、超豪華盤を含めトーゼンのように好調だったとか。
で、今回決定したのが、イエローマジック・シリーズ。そう、コレクターの皆さんが喉から手が出るほど欲しがってたプロデュース盤やコンピ盤のリリースです。
いま、イエロー・マジック・オーケストラと言っても知らない世代が増えてますし、ただのコレクターズ・アイテムにしておくのはもったいない感じ。
これを機に、細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一、この日本音楽史上に残る三羽烏のお仕事を存分に堪能いたしましょう。
まずは、マナからつみきみほまで、YMO散開後を含む80年代全50曲を収録した3枚組の「 イエローマジック歌謡曲 」。テクノ歌謡コンピの総本山、ついに登場という感じですね。
最大ヒット「ハイスクール・ララバイ」はもちろん、地球外生命体・スターボーの珍曲など盛りだくさん。大貫妙子、矢野顕子、ラジ、近田春夫、戸川純らのお友達系をはじめ、竹中直人、伊武雅刀、山田邦子、アゴ&キンゾーらのお笑い系もいろいろ。幅の広さと人脈を痛感する、バラエティに富んだコンピですね。
アイドル系では、金井夕子を筆頭に、松田聖子、原田知世、少女隊、西村知美など。ワタシは柏原芳恵の「しあわせ音頭」がウレシイ。
あ、三田寛子の「夏の雫」は名曲ですぞ。
ほかにシブいところでは、前川清の名曲中の名曲「雪列車」。
レアもので言えば、ユキヒロがゾッコンに惚れ込み、後にバンドのボーカルにまで呼び寄せた中原理恵の2曲、「プリティ・ボーイ…大丈夫」と「生意気娘」かな。
なお監修は、かの「 電子音楽in JAPAN 」の著者・田中雄二さん。電子音楽研究の第一人者だけあって、全般的に納得の選曲と言えそうです。
個人的に残念なのは、「コンピューターおばあちゃん」が酒井司優子が歌う「みんなのうた」バージョンだったこと。こっちが教授アレンジだから監修上仕方のないことですけど、YMOチルドレンだったワタシは、YMOが認めた中学生テクノのコスミック・インベンションが好きでしたので、そちらを聴きたかったな。彼らの登場は衝撃もんだったですしね。
ってゆーか、酒井さんのは何度もCD化されてるし、ワタシが単にコスミック・インベンションの「コズモラマ」がCD化された時、買いそびれてしまっただけなのですが…。ワガママですいません。
ただコスミックが無視されてるワケではなくて、「コズミック・サーフィン」がしっかりセレクトされてます。余談ですが、コスミックの井上ヨシマサくん、いかにも利発そうでしたけど、大出世しましたね。
80年代後半からはキョンキョンや伊代ちゃん、聖子をはじめアイドルに欠かせない作曲家になったし、中山美穂とのロマンスが囁かれたコトもありました…。
こうして聴いてみると、YMOってやっぱりプロ集団ですね。サウンドはともかく、メロディーのよさが傑出してる。キョージュが「本業は歌謡曲で、YMOはバイト」みたいなコトを言ってたらしいのですが、それをハッキリ証明していると言えましょう。職業作曲家さんの出る幕はないかも…。
(2004.12.8)