素晴らしき財産、これぞ音楽の青い鳥!
橋本徹さんのカフェ・アプレミディに対抗してか、少し前、和モノの「喫茶ロック」シリーズというコンピがありましたけど、アレではご本家には対抗できないハナシでありました。
ソフト・ロックのコンピ盤も先取りすぎのせいか早々に廃盤になったりして、歌謡曲系以外の和モノってやっぱマニア受けの域を超えてないのかな…と思っていた矢先、ついに出た!という感じの名作イージーリスニングを網羅した5社共同企画。
先行発売されシリーズ化の礎となった東芝の「 LOVE SOUNDS STYLE 」をはじめ、今回一斉発売のコロムビア編「 Love Sounds Style -COLUMBIA EDITION- 」、ソニー編「 Love Sounds Style-Sony Music Edition- 」、東芝編パート2の「 Love Sounds Style-EMI Edition- 」、BMGファンハウス編「 Love Sounds Style-BMGエディション 」、ビクター編「 Love Sounds Style~Victor Edition~ 」の全6タイトルであります。
なんかカフェブームも過ぎてしまったようですが、ワタシはこのサイトを「ナツメロ喫茶店」と改名するほど、昔の喫茶好き。
このシリーズは、ワタシが子どもの頃、幼ななじみの家がやってた純喫茶で垣間見た世界です。
幼児のワタシは哀しいかな歌のない歌謡曲というくくりで意識していた路線の音楽ですが、今こうして聴いてみたら、ちゃんと体に入っていたのをまざまざと思い知らされた次第です。
そう思うと、アチャラのカフェ系ミュージックに傾倒してる若者たちに聴いてほしいな。洋モノ以外はダサいなんて思っている人に、ワタシたちの先人も捨てたもんではないと感じてほしい。
なんて言うと抹香臭く説教臭く聞こえるかもしれないけれど、素晴らしき財産、探し求めているであろう音楽の青い鳥はこんな近くにあるんだからさ。
そんなゴタクはおいといても、こういう音楽とともに昔の喫茶店って、むせかえるほど珈琲の匂いがして、子どもには立ち入ることができない大人の世界の壁があったように思いますが、アレは珈琲も飲めない子どもだったからそう感じたのかな?
今みたいに居酒屋に子どもを平気で連れてくる親なんかいなかった時代、大人の領域というものはしっかりと守られていました。そして、そこには毅然とした美しさが確かにあったように思います。実は退廃的な話が繰り広げられていたかもしれないけど、あの時あすこで見た、節度を持って優雅に生きるカッコいい大人たちを忘れずにいたい。
このシリーズを聴いているとそんな風につくづく思います。
音楽的な解説になっていなくてスミマセンけど、プロのお仕事によるイージーリスニングの素晴らしさや、筒美先生らの職人ぶりを堪能できる…なんてことは8センチCD付きのガイドブック「 Love Sounds Style読本 (Artisan de la musique Japon) 」や専門サイトにお任せすることにして、ちょっと今、真実を見つめ美しさを見極め、正しく生きる大人の精神について考えてみてください。
日本が本当にダメになってしまう前に、これらのCDを聴きながら…。
ワタシは、ヌマ伯父茶んこと沼田元氣さんのファンでもありますし、喫茶遺産を大切したい。
それって、ひいては人としての美しい文化を大切にすることであり、きちんと継承してゆくことだと思うのです、マジに。
(2004.10.12)