想い出に輝く、16曲(カラット)の宝石たち
エタバラこと「エターナル・バラッズ」でおなじみ、うすいのさんが手がける新コンピ「 名曲発掘 ! ジュエル・バラッズ 」の登場です。]
タイトル通り、ファンにとっては有名曲でも、一般的には知られていない名バラードを、ポニキャン中心にたっぷり16曲も収録。うすいのさんならではのチョイスが光る、これまた好盤です。ジャケットは鶴田一郎氏のイラストだそうで、トーゼンですがノエビアチックな感じを醸し出しています。
内容はと言いますと、まずオープニングの中島みゆき「誕生」にビックリ。みゆきがあんましコンピ盤に入らないってのもありますが、のっけから軽~い気持ちで編集したコンピではないって印象を受けますね。
続く今井美樹の「半袖」はお水のベテランおねいさんも御用達、カラオケ定番曲というイメージのある小品。そんで松原みきさん、明菜といくと、あら、何となく一人泣き系かしらんという気がするかもしれませんが、それは早計というもの。
岩崎家の姉妹がそろって収録されてるし(コレってスゴイのでは?)、ひっちゃん、斉藤由貴、本田美奈子などの実力派アイドル勢もしっかり入っております。
ヒロリンは、ワタシが本編で彼女の項を書くきっかけになった「そばにおいて」のセルフカバーを。初回録音の「そばに置いて」(「 THE COMPLETE SINGLES 」に収録)と聞き比べて本編を再読していただくと、ワタシの真意がお分かりいただけるかも。この曲、数年前からカラオケにも入っていますよ。
一方ヨシリンは、83年早春に久々のスマッシュヒットになった「恋ほど素敵なショーはない」。アニーよ銃を取れをもじったタイトルも素敵だったし、乗馬もしちゃった♪日清サラダ油の豆乳~のCMが懐かしい! 今も大好きな曲です。オリコン22位とレコードセールス的にはもう一息って感じでしたが、有線やラジオでは相当強く上位に食い込んでましたから、ヨシリンのヒット曲の中では広く知られてる存在だと思います。オシャレで高度で、業界人がこぞって応援してるって感じでしたね。
ひっちゃんの「恋」はブレイク前の玉置浩二が手がけた作品ですが、安全地帯のブレイク後、同じナベプロのルミ子に取り上げられ改詞されちゃった…。しかし、改めて聴いて、真面目な優等生ほど恋にハマったらコワいという感じがスゴイ出てて、現代の怪談っぽい趣もありますね。
また、寝顔は純真そうなんだけど腹に一物潜めて百年熟睡するタイプであろう斉藤さんの「眠り姫」、オッペン効果で「新婚さんいらっしゃい!」ファンのオバさんにも大好評だった美奈子.さんの復活ヒット「つばさ」など、お手軽コンピとは一線を画す、十二分に練られた構成だと思います。
あとは桑田さん監督のアミューズ映画第1弾「モーニングムーンは粗雑に」でデビューした高樹澪の劇中歌「恋の女のストーリー」。これはサザンの書き下ろしだったかカバーだったか微妙でしたけど、書き下ろしのB面「MIO-SUN」もよかったな。
余談ですが高樹さんでは、甲斐さん提供の「ハート~降っても晴れても」がイチバン。ワタシ、この曲がテーマだった三浦友和主演のドラマも見てました。ベストも廃盤みたいだし、聴きたいけど聴けない曲のひとつです。
また、うすいのさんならではの隠し味もテンコ盛り。いわゆるオリジナルや有名バーションとは違ったテイクもふんだんに盛り込まれています。
前述したヒロリンのほかに、飛鳥が書いた明菜の「予感」は苦悶後の録音盤、亜美ちゃんの名曲「蒼夜曲」は超貴重なシングル・バージョン(しかしワタシはデビッド・フォスターがアレンジしたLP「HOT BABY」バージョンが好き…)、谷山浩子の出世作「カントリー・ガール」は歌詞が増えたセルフカバーバージョンなどなど。
さらにこの盤、みゆきファン必聴の側面も持ち合わせてまして、1曲目のご本人に加え、工藤静香の「そのあとは雨の中」や、提供曲コンピのSONG LIBRARYシリーズにも入らなかった初CD化曲「はぐれ鳥」(研ナオコ)も収録。
とゆーわけで、多面体の魅力にあふれたこのコンピ、しっかり聴くもよし、さりげに流すもよし、ぜひご一聴ください。
なお、うすいのさん企画の“歌える”(ここがキモ)アニメコンピ「アニソン・ヒッツ!~フジテレビアニメヒットソング集~」も同時発売されます。
(2005.8.20)