ハイ! 宮尾すすむと台湾のフィーフィー!
とてもよいお仕事をなさっているウルトラ歌謡探偵団がセレクトする、VIVIDの復刻シリーズ。
“JAZZ WITCHES”の「弘田三枝子スタンダードを唄う」「ジャスト・フレンズ~笠井紀美子コンサート」に始まり、“昭和の歌謡ポップスを彩った歌姫たち”の「黛ジュン/天使の誘惑」「奥村チヨ/あなたとチヨと…」「石田ゆり/悲しみのアリア」「ゴールデン・ハーフ/アダム&イヴ~ポール・アンカ、ニール・セダカを唄う」など、東芝の当時C級クラスまでを復刻。
そして今回登場となるのが、実況録音盤シリーズでございます。
「黛ジュン/リサイタル’70」「ナイトクラブの渚ゆう子」がラインナップされてますが、ここはやはりフィーフィーの「 オン・ステージ 」でしょう!
東芝のご本家でも老舗クラブでの初ライブ盤「イン・ベラミ」が再発されましたが、これは2ndライブ盤で72年、大阪フェスティバルホールでの実況録音です。
ハイ!宮尾すすむです! ワタシハ欧陽菲菲デス! と、このやり取りって何だか胸に迫るものがあるんです。当世売れっ子のスター歌手の大ホールでのステージなのに、場末ムードがプンプンなのが、やはり当時の日本の興行界というか、裏社会をヒシヒシと感じさせるんですよね。
このトランペット全開の音は、まことに夜の響きがいたします。あー、あの頃って、すべての物事に大人と子どもの世界の線引きがキチンとなされてた。夜の世界には、れっきとした大人の文化が反映していたな。
早く大人になってあの世界を体験してみたい…と憧れてたものの、ワタシが大人になる頃には、あの垣根はどんどん低くなっちゃった。
今では酒場に小学生の子どもを連れてきたりする親も出る始末…。深夜のコンビニに年端もいかぬ幼児の手を引いてやって来るヤカラもいますもんね。やっぱ狂っている、というかワタシたちは大切なものをなくしてしまっています。
ちょっと話がそれましたが、それは、まさにこのライブがそんな時代のすべてを記録しているように思えるから。
なんと特別出演したという筒美先生書き下ろしの「恋の追跡」「雨のエアポート」「夜汽車」なんて、スタジオ録音では手を抜いていたのかと思ってしまうほど、フィーフィーのグルーヴが堪能できます。
新人賞レースを競い合ったクライマックスの「花嫁」も、「アンタが乗ったのは、地獄の夜汽車じゃないだろね、ウエディングドレスは黒じゃないだろね」という感じの仕上がり。
また、おそらく戦中派が大半を占める客席を考えて選曲されたと思われる、懐かしの「何日君再来~夜来香」では、台湾人としての誇りも漂う感じ。
さあ、あなたもフィーフィーとともに、魅惑の一夜を過ごしましょ!
(2005.5.2)