ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#1274
南沙織/GOLDEN☆BEST コンプリート・シングルコレクション
(2026.4.29発売、MHCL-31139~40、¥3,850<税込>) 
*ソニーミュージック【GOLDEN☆BEST】シリーズ定番18タイトル Blu-spec CD2再発

シンシア史上初のA面ベスト、充実の懐刻盤が再発!

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 先日、こちらで紹介したソニーミュージックの「GOLDEN☆BEST」定番タイトルのBlu-spec CD2化。今回リリースの18タイトルから、主立ったタイトルをピックアップしていきたいと思いますが、今回は我らがシンシア! 南沙織さんの2枚組「GOLDEN☆BEST 南沙織 コンプリート・シングルコレクション」(Amazonではメガジャケ付き!)です。
 
 こちらのオリジナルは2010年、“懐刻盤”シリーズ第3弾として登場したものですが、CD時代になってからも数多出てきたシンシアのベスト盤としては初めてで唯一、シングルA面曲を全て収めた待望のコンプリート・シングルコレクション。
 すなわち70年代の「17才」から「グッバイ ガール」までと、90年代の復帰時に出た「青空/ファンレター -SO GOOD SO NICE- (Remix version)」「約束」「よろしく哀愁」「愛は一度だけですか」「初恋」に、人気のB面曲「魚たちはどこへ」&涙の名曲「私の出発」を加えた全37曲を収録。
 収録曲の多さという意味でも限界ギリギリまでめいっぱい詰め込んだ大サービスのお得盤ともいえ、音盤として大いなる価値がありますが、そこはやっぱり懐刻盤。歌本テイストの豪華なオールカラーブックレットが最大の魅力で、シンシアの場合はブックレットのキャパを超える全44ページでしたが、現時点でのアナウンスでは40ページとなっております。果たして、さすがに詰め込み気味だった構成がリニューアルされるのでしょうか…。
 
 ここではあくまでもオリジナルをベースに紹介させていただきますが、歌詞ページは、それぞれのシングルのタイトルロゴを再現した上、写真はジャケ写のレアな別カットを中心に使用と、オリジナルを知るファンであればあるほど萌える仕様。
 そして、原盤制作の日音サイドのディレクター・小栗俊雄さんよる「シンシア レコーディング・ヒストリー」(僭越ですが取材構成を担当させていただきました)も掲載され、読み物としても充実。
 加えてシングルディスコグラフィーとして発売日や型番も掲載されているほか、バックインレイにはサムネイルではありますがジャケット写真も掲載と、資料価値も大なるものがありましたので、オリジナルに忠実な再発になることを祈っております。
 
 さて、個人的にも微に入り細に入りの仕掛けが施された懐刻盤は大好きなのですが、コアなファンの一部からはパッケージデザインが酷評され、表1と表4の写真のセレクトがシンシアのオフィシャル商品らしくないとか、レモンイエローを基調とした色味やデザインがチープだとか、フォントや文字組みも含め往年のCBS・ソニーのセンスが感じられないとか、厳しい指摘があったのも記憶に残るところ。確かに、デザイナーさんの昭和40年代への独特な思い入れがたっぷりで、歴代のシンシアのレコードやCDと並べて見ると違和感があったのも事実です。
 パッと見は明星ヤンソンの巻頭か、平凡ソングの口絵ジャケットか、という雰囲気がするものの、イメージが近いのは歌本ではなく近代映画本誌巻頭のスターポートレート…。それも自社撮影じゃなくメーカーの提供写真をベースに別物にしましたという感じなので、そのへんに違和感を感じる人が多かったのかもしれません。それだけ当時群を抜いてナウだったCBS・ソニー純正のセンスは鮮烈だったことの証ですよね。
 
 ちなみに、このG☆Bを基本に、シンシア時代の楽曲を省いたSACDハイブリッド盤「南沙織 SINGLE COLLECTION」(こちらで紹介、ステレオサウンド発でマスタリングはイチからやり直しています)はブックレットの内容はそのまま流用しつつ、表紙周りなどは全く別物にリニューアル(デザイナーは同じ方です)されていますので、G☆Bのジャケットがお気に召さずパッケージも音質もよりこだわりたい方は、まだ入手可能なそちらをお求めになってはいかがでしょうか。
 
 と話がそれましたが、このG☆Bは、シンガー・南沙織の軌跡をあらためて追うには最適のベスト。「17才」から「想い出通り」まで、有馬三恵子+筒美京平コンビによる初期の作品群はクオリティーの高さはもとより、半世紀経っても色あせないみずみずしさが突出していますし、次第に翳りを帯びてからも、レコ大歌唱賞に輝いた「人恋しくて」をターニングポイントに、ジャニス・イアン作曲のスマッシュヒット「哀しい妖精」など、哀愁を漂わす歌唱もこれまた魅力的です。
 後期の資生堂キャンペーンソング「春の予感-I've been mellow-」や引退前のラストシングル「Ms.(ミズ)」、事実上のラスト「グッバイ ガール」まで、少女から大人の女性へと成長していく物語を読むような流れも味わい深いものがあります。
 
 そして91年にレコーディング復帰した後、「青空/ファンレター-SO GOOD SO NICE-」「約束」「よろしく哀愁」「愛は一度だけですか」とタイアップがらみとはいえコンスタントに出されたシングルで聴けるのは、ふくよかな癒やしの歌声。ずっとシンシアに書きたがっていた阿久悠さんがペンを取っているのも見逃せません。
 97年、タバコのCMで流れた一節が話題を呼びシングルリリースに発展した「初恋」に至るまで、希有なボーカリストとしての魅力やシンシア・ブランドの輝きをたっぷり堪能できることと思います。
 もしも、まだちゃんと聴いたことがない方がいらっしゃいましたら、この機会にぜひお手元にどうぞ。
 
 なお、シンシアのG☆Bとしてはもう1つ、2002年に出て09年Blu-spec CD化された筒美京平作品集がありますが、こちらも必携! ただし、現在入手できるのは通常CD「ゴールデン☆ベスト 南沙織 筒美京平を歌う」のみですのでご注意ください。
 

(2026.3.10)
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