ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#1272
小さな恋のものがたり ~フォーク&ニューミュージック BEST~
(2026.2.27発売、DYCS-1242、¥12,100<税込>) *5枚組CD-BOX、通販限定

チッチとサリーの世界観を、数々の名曲で!

nojacket
 ご存じ、みつはしちかこさん作の超ロングセラー叙情漫画、チッチとサリーの「小さな恋のものがたり」。
 昭和後期の乙女チックな女の子といいますか、元少女だった人も含め彼女たちの部屋に行くと、必ずと言っていいほど本棚に並んでいたイメージがありますが、最初に描かれたのはなんと昭和37年だそうで、もう64年も前になるんですね。
 なるほど、親子3代、いや4代にわたって読み継がれる長寿漫画として根強いファンが数多く存在することもうなずけますが、今回ソニーミュージックから、チッチとサリーをビジュアルイメージにしたCD-BOX「小さな恋のものがたり ~フォーク&ニューミュージック BEST~」が通販限定で登場! まずはテレビショッピングの QVC先行販売を経て、その他通販では6月に取り扱い開始することが発表されました。
 
 チッチとサリーのイラストを配したCDというと、2008年に、本家のよりぬき愛蔵版「小さな恋のものがたり初恋セレクション」と連動したコンピ盤「小さな恋のものがたり~初恋CDセレクション」( こちらで紹介)がビクターから出ておりますが、あちらが1枚もの14曲だったのに対し、今回は堂々5枚組の全90曲。
 内容も、ビクター盤がフォーク&アイドルの青春ソング集だったのに対し、今回のソニーBOXはタイトル通りフォーク、ニューミュージック系で、アイドルであってもシンガー・ソングライターからの提供曲を中心にした青春の名曲集となっております。
 
 漫画の中でチッチの胸の内が綴られた抒情詩は、70年代のシンガー・ソングライターが描いた私小説フォークと二重写しのようですので、フォーク&ニューミュージックという選曲はぴったり。 
 実際、「小さな恋のものがたり」がフォーク系のシンガー・ソングライターの愛読書として紹介されたことも多かったですし、かの加藤和彦さん(今回は北山修さんの「あの素晴しい愛をもう一度」が収録)がチッチとサリーというデュオを結成したり(単行本化の企画だったそうです)、中心読者層と同じティーンだった小坂明子さんのセカンドアルバム「愛のメルヘン」のカワユい世界観などは、チッチとサリーのイメージアルバムといっても過言ではないほど。小坂さんの場合は、70年代にCMでチッチとサリーと共演(?)し、80年代から90年代にかけては、みつはし先生のもう一つの代表作「ハーイあっこです」のアニメで主題歌や劇伴を担当するなど、公認アーティストという印象も強いですが、今回のBOXでは「あなた」がセレクトされています。
 そういえば、読者層とファンがかぶる小田和正さん(今回はオフコースの「さよなら」が収録)もお好きだったようで、近年の単行本で帯コメントを書いたりしていましたよね。
 
 さて、BOXの収録曲は、おなじみの王道ラインアップという感じで、音源自体はレアではありませんが、パッケージやジャケット、盤面まで、チッチとサリーのイラスト尽くし。それ以外に「みつはしちかこコメントカード」も封入されるそうで(QVC販売分はスマホサイズステッカー5種類セットも封入だとか!)、チッチとサリーグッズとしての価値はぐんと上がっていますよね。
 さらに、長井英治さんによる解説も付いていますので、特に70年代の愛読者ならチッチとサリーの世界に没入できそうですし、昭和レトロのブームで知った新たなファンも当時の感覚を追体験できそうです。
 
 選曲では、読者層とマッチして、当時のフォーク系では圧倒的な人気を誇っていたチェリッシュ(ズバリ「チェリッシュの小さな恋の物語」というタイトルのアルバムもありましたね)が漏れているのが意外。職業作家メインだったのと、後の活動のせいで、フォークというより歌謡曲、ファミリー、学芸ものにカテゴライズされているイメージがあるからでしょうか、そのへんが再評価が思うように進まなかった原因のように思えて残念です。
 
 逆に、アイドルであってもフォーク、ニューミュージック系からの提供曲でないものがセレクトされているのも意外。でも、南沙織「色づく街」、天地真理「想い出のセレナーデ」などのおセンチな名曲はチッチとサリーにぴったりですよね。
 ちい恋が一大ブームを博していた70年代には女性アイドルの多くがチッチとサリーのファンと公言していましたし、読者層自体、同世代の男性アイドルなんかもよく聴いていた記憶がありますしね。
 
 余談ではありますが、アイドル系にはタイトルからして確実に影響を受けたであろう作品も多く、有名どころでは、真理ちゃんの「ちいさな恋」(グッズにもなった真理ちゃんのイラストはモロ亜土ちゃんタッチですが)や、アグネス・チャンの「小さな恋の物語」(自筆イラストも話題を呼んだ「アグネスの小さな日記」や詩画集とメディアミックスした「小さな恋のおはなし」などのアルバムも影響下にありそう…)といったオリコン1位の大ヒット曲とか。
 そんなことを考えてたら、それぞれの時代のチッチ、すなわちメイン読者の少女たちが、あたかもサリーのように恋い焦がれ支持していたメンツ、60年代ならGS、70年代なら新御三家、80年代ならたのきん…なんかも聴きたくなってまいりました。
 
 もっと飛躍して、オフィシャルということでいえば、ダークダックスの「花のメルヘン」の作者・敏トシさんによる歌とみつはしさんの朗読で綴った音楽集LPのほか、アニメ化された時のイメージアルバムなどもありましたし、実写版ドラマから、チッチを演じた岡崎友紀さんが歌う主題歌「ファースト・ラブ」とサリー役の沖雅也さんによる挿入歌「君と二人で」とかも聴きたいもの。
 またはアニメ版からの引用で、来生姉弟作の主題歌「愛をあずけて」や、チッチの声を演じた伊藤つかささんの歌(セカンドアルバム「さよならこんにちは」の乙女チックな感はピッタリかも)もマッチしそうです。
 
 もう何年も読み返していませんが、こんなことをつらつら書いているだけで、漫画のいろんなエピソード(焼きイモが大好きなチッチが、屋台で買ってるところをサリーに見られて顔を赤くするシーンなど)はもとちょり、グリコのタイアップ商品やバレンタインキャンペーンの販促グッズなんかを鮮やかに思い出したましたので、このBOXのイラストを眺めながら、青春のうたに耳を傾けると、もっと鮮やかな「小さな恋のものがたり」がよみがえってきそうです。
 

(2026.3.6)
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