ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#1251
甲斐智枝美/ゴールデン☆ベスト ~コンプリート・コレクション~
(2009.9.16発売、VICL-63456、¥3,143<税込>) *タワーレコード限定再販売

チェミィよ永遠に!G☆Bがタワレコ再販売!

 このほどタワーレコードの 昭和アイドルタワレコセレクションに追加された、比企理恵「 比企理恵 ベスト」( こちらで紹介)と、甲斐智枝美「 ゴールデン☆ベスト 甲斐智枝美 ~コンプリート・コレクション~」。
 2人とも今年デビュー45周年を迎えた80年組同士で、同じホリプロの所属でしたので、一緒に紹介するつもりでしたが、前回の理恵ちゃんが長引きましたので、チェミィはこうして別項にさせていただきました。
 
 今回再販売されるのは、2009年にゴールデン☆ベストシリーズ( こちらで紹介)にラインアップされた2枚組の「 ゴールデン☆ベスト 甲斐智枝美 ~コンプリート・コレクション~」。
 彼女の全楽曲を網羅したオールソングス・コレクション、すなわち「WINK」「ヴィーナス」という2枚のフルアルバムとミニアルバム「フォー・レターズ」+アルバム未収録のシングル曲(純粋なシングルバージョンは一部未収録)を発売順に完全収録。さらにはシングルA面のオリジナルカラオケをボートラ追加した、ファン必携のCDです。
 この4月にシングル、アルバムとも LABEL ON DEMAND(旧MEG-CD)化されたようですが、純正CDとしては生産中止後、レア度が高くなっていたもの。アルバム優先のため、聴きやすさではシングルAB面が順に並ぶ2004年の「甲斐智枝美コレクション」にはかないませんが、ファン必携のコンプリート・コレクションだと思います。
 
 さて、チェミィこと甲斐智枝美さんは「スター誕生!」出身。柏原よしえ(芳恵)と同じ回の決戦大会で金井夕子の「ジャストフィーリング」を歌って合格。このときはまだ素朴で福岡弁も抜けきらぬ感じでしたが、80年6月のデビューではすっかりアイドル然とし、大器の予感さえ漂わせていました。
 
 “KIRARI!瞳が語る”というキャッチフレーズを引っさげてリリースされたデビュー曲は、名曲の呼び声の高い「スタア」。新進作家として注目されていた伊藤薫作品は、流行のELOサウンドを彷彿とさせるといいますか、この年の夏を席巻するオリビア・ニュートン=ジョン&ELOの「ザナドゥ」を先取りしたようにキャッチー。ひたむきさを感じさせる歌唱も相まって、ヒットの予感がしたのは確かです。
 
 ホリプロでも、楽曲の完成度を受けたためなのか、この時点でスカウトキャラバン優勝者・比企理恵さんのブレイクが見込めなくなったためなのか、わかりやすい形で大プッシュ。
 「スタア」の衣装デザインは、スタ誕の先輩でもあり、既に引退が決まっていた山口百恵さんが担当。本人公認による“ポスト百恵”の最右翼としてプロモーションを行い、チェミィ自身が描いたという星のイラストを“チェミィスタア”としてオリジナルキャラクター化するなど、最初はどう見ても大ヒット間違いなしという布陣でした。
 しかしながらTOP100にはチャートインできず。第2弾「さよならサンセット」も安部恭弘作曲の佳曲ではありますが、一歩早いセンスというか、有望株がしのぎを削る80年組アイドルという意味では、いささか地味すぎたのでしょう。
 
 新人賞レースでは聖子や良美、奈保子にまでは行かないにしても、四番手、五番手にもなかなか手は届かず、お膝元で有利なはずの日本テレビ音楽祭では、7人まで枠が拡大されるも、柏原よしえの後塵を拝し、新宿音楽祭では銅賞と、ある意味参加賞並みともいえる残念な結果に…。
 ただ、比企理恵も同じ結果に終わったことを考えると、ホリプロは社会現象というレベルにまで広がった百恵フィーバーへの対処に手一杯で、各局各界への根回しが手薄になってしまったのかもしれません。
 
 とはいえ、理恵ちゃんとは違ってそれで終わらなかったのがチェミィ。2年目に向けて話題のドラマに連続出演したのをはじめ、プロポーションの良さはカラーグラビアとも相性抜群。グラドル的人気も得て、レコードリリースは継続します。
 お米屋さんで売ってるジュース・プラッシーのCMキャラクターに起用され、ヒットの兆しを見せた第3弾「マーマレード気分」は、芳野藤丸作曲。マーマレードなのにサビがレモンになったのはプラッシーのせいかもしれずイメージがチグハグになって惜しかったですが、続く森雪之丞作品「いつでも答えはYESなのよ!」でぐんとポップにシフト。上昇気流に乗るムードがあったのは確かです。
 
 そして、2年目の夏の勝負曲にして、プラッシーのCを全面に押し出した「Si! Si! C!」は、ジャケットのビキニと同じくはちきれんばかりのチェミィの魅力が満載。メディアミックス展開を図るなど、タイミングさえ合えばブレイクするのも夢じゃない…という感じでしたが、ブレイクの予感はシースルーなチェミィではなく、男のワイシャツ風のワンピースをまとった「ガラスの夏」でぐんと大人っぽくなった柏原よしえちゃんが手にしたのでした。
 
 ちなみに、よしえちゃんは同年、歌謡界のリバイバルブームを受け、アグネス・チャン&讃岐裕子のカバー「ハロー・グッバイ」で完全ブレイク。つくづくチェミィにとって因縁のライバルだったことを実感しますが、チェミィも負けじと森山加代子の「月影のナポリ」を「誘って・ルンナ」としてリメイクするも、後手に回ってしまい全く抜けきれなかったのですね。
 極め付けは、現役アイドル初(?)として話題を呼んだヌード写真集とリンクさせた「踊り子~つれてって・愛のSpain~」。デビューから応援していたファンは離れてしまった感がありましたし、チェミィ自身からもやっぱりどこか無理している様子がうかがえましたよね。
 
 結局はそれを最後に、レコードリリースはストップ。タレントとしては活動を続けますが、アイドル時代の輝きはどんどん精彩を欠いていきました。最期のことを思うだに、いまだ無念ではありますが、今回のタワレコ再発で、チェミィを再評価することが供養になるのではないかと思っております。
 
 

(2025.5.30)

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