ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#1264
風吹ジュン/ゴールデン☆ベスト
(2012.8.22発売、TECE-1123、¥2,096<税込>) *タワーレコード限定再販売

初のCDベストが13年ぶりに再販売!

 気がつけば1枚、また1枚というように、マニアックな生産中止盤が復活しているタワーレコードの 昭和アイドルタワレコセレクション
 先日、コロムビアのアイドル・ミラクルバイブルシリーズ2タイトル「 守谷 香 ベスト」「 コロムビア・アイドル・アーカイブス~女の子編 Vol.1」に続いて追加されたのがテイチクの2タイトル「 石田ひかり TWIN VERY BEST COLLECTION 」「 ゴールデン☆ベスト 風吹ジュン」。ここはやっぱり風吹ジュンさんをプッシュしたいと思います。
 
 風吹ジュンさんといえば、今や演技派の大御所女優として認められる存在ですし、今年はNHKのプレミアムドラマ「照子と瑠衣」で、これまた同時期にアイドルとして活躍した夏木マリさんとダブル主演するなど第一線で活躍中ですが、元々はモデル活動やグラビア、CM出演などを経て、テイチク・ユニオンレコードから歌手デビューしたアイドル。
 
 明るくヘアダイしたロングヘアとホットパンツ、ユニチカのマスコットガールならではのボインな肢体、タヌキみたいな丸顔にマスカラ、オレンジの口紅…アンバランスな魅力といいますか、エッチで不良のナオンっぽい雰囲気もあるのにとってもキュートで、不思議な魅力を放っていました。
 後に発覚したいかにも水商売という雰囲気はなく、夜より昼間の陽ざしを感じさせるほどで、当時の子どもの感覚でいえば、仮面ライダーに出てた頃の山本リンダ的イメージ。「がきデカ」のジュンちゃんしかり、「グレートマジンガー」の炎ジュンしかり、人気漫画で彼女をモチーフにしたようなキャラクターが描かれたことからも人気ぶりが分かることでしょう。
 余談ですが、「ガラスの仮面」のハミルとアユミの関係に、デビッド・ハミルトンと風吹ジュンを重ねて見てしまう人っていませんか?
 
 さて、74年5月の歌手デビュー曲「愛がはじまる時」は、作詞が南沙織の有馬三恵子、作曲が小柳ルミ子の平尾昌晃という強力な布陣。舌足らずでささやくような歌い方と、やたら多い息継ぎも相まって、コケティッシュなフレンチポップスのムードがウケてスマッシュヒットしました。
 当時は、浅田美代子に続く音痴歌手というレッテルを貼られてしまいましたが、路線はミヨちゃんではなく、「おしゃれな土曜日」のミミに連なるイメージでした。
 歌手活動はミヨちゃんと同様、イヤイヤやっていたそうですし、移籍にまつわるスキャンダルがあったせいか、結局は約1年で終了。その間、シングルは4枚、アルバムは、新曲入りベストを含めて3枚がリリースされております。
 
 今回再販売されるのは、2012年に出たCDとしては初のベストで、アナログ盤から数えると37年ぶりのリリースとなったもの。
 「愛がはじまる時/夏のふれあい」「涙に微笑を/愛の雨音」「ふたりの舗道/私はかもめ」「23才」(B面の「こころ半分」も名曲ですので未収録が残念な限りです)というシングル曲7曲に、アルバムからの9曲を加えた全16曲となっています。
 ちなみにアルバム曲は「ジュンとあなたの世界~風吹ジュン ファースト・アルバム~」から「恋のかけひき」「涙ひとつぶ」、「オリジナル・コレクション16」から「古い日記」「優しい関係」「ロマンチスト」「美しい冒険」「別れたあとも」「風に似た人」「恋は不安」となっています。
 
 曲順は「オリジナル・コレクション16」をベースにしたせいなのか、ラストシングルとなった「23才」から始まりますが、個人的にはコレがマイベスト。すったもんだの大騒動に巻き込まれたものの、かの久世光彦さんに見いだされ、大人気ドラマの続編「寺内貫太郎一家2」の主要キャストに抜擢されたジュンさん。ミヨちゃんと交代して、劇中歌まで歌うことになったのですが、その歌がこの曲でした。
 安井かずみ+三木たかしという新コンビによって劇中歌として制作されたものですので、それまでの曲調とはまったく違ったほのぼのカントリーポップ。当時、どの流行歌にもなかった“ごはんも炊けてます”というフレーズに大層驚いたものですが、このドラマでの好演が縁で向田邦子さんのお気に入りとなり、女優開眼していくわけですから、まさに風吹ジュンにとってターニングポイントとなった楽曲です。
 また、久世さんといえば、作詞家としての顔も有名ですけれど、ジュンさんにも歴代の水曜劇場出身者―真理ちゃんやミヨちゃん、岡本南ちゃんたち―に詩を書いたのと同様、「美しい冒険」「別れたあとも」も書いていて、このベストにもしっかり収録されております。
 
 もう1曲オススメを挙げれば、3枚目のシングルにしてコケティッシュにイメチェンした「ふたりの舗道」。イギリスの女性シンガー・ソングライター、リンジー・ディ・ポール(デビュー時の太田裕美さんは彼女のスタイルをマネしたそうですよ)の「オール・ナイト」に瓜二つなのですが、彼女のウィスパー唱法にもバッチリマッチした名曲だと思っています。
 ちなみにこの曲、スキャンダルで発表されなかったという幻の第3弾「四つの手/愛の前奏曲(プレリュード)」に代わって、ファーストアルバムからのリカットされたナンバーだったとか。
 ダーティーなアイドルへと一気にイメージダウンした頃ということもあって、脚光を浴びなかったのが残念です。
 
 というアイドル歌手時代のジュンさんの魅力いっぱいのベスト「 ゴールデン☆ベスト 風吹ジュン」。
 そういえば現在、ジュンさんが演技開眼した向田ドラマ「阿修羅のごとく」がNHKBSで再放送中ですので、前回買い逃した人だけでなく、ジュンさんのアイドル時代をご存じないという若い皆さんにも、ぜひ手にとっていただければと思います。御年73歳、フランスのマダムみたいになった今のジュンさんしか知らない人がこのベストを聴いたらどんな感想を持つか、とっても興味があります。
 
 

(2025.11.6)

Yahoo! JAPAN

  • このサイト内を検索
  • ウェブ全体を検索