57年現役のアコ、ビジュも充実のATB!
アコはいつからアッコになったのか?
アコ時代からのファンとして長年この違和感を抱いてきたものの、世間的にはもはやアッコという呼び名以外はあり得ない感じになってしまい至極残念なのですけれど、そんな和田アキ子さんも今年でデビュー57周年を迎えます。
満身創痍でありながら、昭和、平成、令和の芸能界にご意見番として君臨するとともに、現役シンガーとしても精力的に第一線で活動を続けているのはご存じの通りですが、個人的にはやっぱり“女番長”や“ゴッド姐ちゃん”だった頃のアコ(あくまでこう呼ばせていただきます)が大好き。
チータ、ちあき、佐良さんとの「おかしな四つ児」や、ククレカレーのCMもしっかり記憶に刻まれておりますが、夢中になったのはなぜか家族全員で見ていた「うわさのチャンネル」。眠い目をこすりつつ、せんみつ・湯原へのハリセンや、デストロイヤー(淳子と仲良しでしたネ)との格闘を楽しみにしてましたっけ。
また、ホリプロの姉御として昔から後輩アイドルをとてもかわいがっていました。森昌子(初期のニックネームのマコはアコの派生形でしょう)をよく膝の上に座わらせていたこととか、百恵ちゃんのプロフィールに尊敬する歌手(とってもすてきなおねえさまです)と記されていたこととか、第1回スカウトキャラバンで郁恵ちゃんのイモねえちゃんぶりに優勝を阻止しようとしたこととか、大好きだったアイドルたちにまつわるアコの思い出は枚挙にいとまがありません。
余談ですが、実はワタシ、アコがレギュラーでテーマ曲「君が野に咲くバラなら」を歌った欽ちゃんのバラエティー「たみちゃん」で世に出た野咲たみこの名付け親の1人(月刊明星の芸名募集で入賞)になったんですが、そのネーミングもアコの歌をヒントにしたんですよね。
そんな話はともかく、先日オンエアされた「徹子の部屋」では敬愛する先輩・いしだあゆみさんとの思い出を中心に昔のエピソード(アコのハイヒールに美空ひばりさんの靴が入った話は、我々世代には堀ちえみバージョンでおなじみですよね)が語られたり、BS12の「船越英一郎の昭和再生ファクトリー」では初期や低迷期の逸話が披露されたり、これまであまり明かされていなかったことを含めてご本人の回想を聞く機会が相次ぎました。
特に、デビュー当時のスタッフからの手紙を読まれ、アコという呼び名について自ら言及した際には思わず胸熱になったことでしたが、そうしたタイミングでアナウンスされたのが、新ベスト「
アコの場合、周年には欠かさず記念ベストを発売してきたような印象がありますが、55周年の2023年には最後のホールコンサートツアー「AKIKO WADA LAST HALL TOUR」を行ったものの、CDは出ていなかった模様。ということもあってか、今回はCD2枚に加え、スタジオライブの模様を収録したDVDと、撮り下ろしのフォトブックをセットしたビジュアル重視の豪華仕様となるようです。
現在はユニバーサルに在籍するアコですが、今回はオールタイムベストということで、RCA(RVC)、ワーナー、テイチクという歴代所属のレコード会社はもとより、配信シングルまでの全キャリアからシングル曲を中心に厳選。これに「あの鐘を鳴らすのはあなた」の新録バージョンと新曲3曲を加えた計30曲が収録されるとのこと。
その内訳をひもときますと、RCA時代は68年のデビュー曲「星空の孤独」から、初ヒットとなった「どしゃぶりの雨の中で」、代名詞ともなった紅白初出場曲「笑って許して」、レコード大賞最優秀歌唱賞を受賞した曲「あの鐘を鳴らすのはあなた」、モノマネの定番となった「古い日記」、細野晴臣作品として再評価の高い「見えない世界」、紅白をいったん卒業することとなった78年の名バラード「コーラスガール」まで。
パワー全開、若さでシャウトするナンバーを含め、“和製リズム・アンド・ブルースの女王”と呼ばれるにふさわしいダイナミックな歌唱が魅力ですが、注目すべきはデビュー以来のタレントイメージが飽きられていった時代といいますか、フォーク・ニューミュージックの隆盛でほとんどの歌謡曲歌手の低迷期を迎えた70年後半。
アコも例に漏れず、歌手なのか役者なのかコメディエンヌなのか、芸人として最も中途半端だったけど、最も謙虚だった(というか自信がなくなってたのだと思う)時期のアコの歌って、特に心のひだをなぞるような繊細さが際立っていて素晴らしいと思います。特に「コーラスガール」は傑出していて、この曲を含むメロウなアルバム「パーク・アベニュー7P.M.」は、地味ではありますが当時のアコにしか歌えない世界を映した名盤です。
さて、紅白落選を機に79年から出直した感のあるワーナー時代は、テレビと時代を味方につけた復活劇への軌跡です。
83年に出した芸能ゴシップの暴露本がベストセラーになったことをきっかけに、タレントとして再浮上。歯に衣着せぬ物言いはワイドショー御用達の芸能界のご意見番として重宝され、欽ちゃんの引き立てもあり、やがて冠番組を持つようになったアコ。アッコが定着していったのは、このあたりからでしょうか。
歌の方も試行錯誤を経て、往年の阿久悠+森田公一コンビを起用した「もう一度ふたりで歌いたい」で紅白に復活。それまでの不良イメージを引きずったソフトリーゼントから、現在のどんぐりヘアと呼ばれるベリーショートへと落ち着いていった髪型が示すように、国民的タレントとして大きな支持を集めるようになったのです。
以降、歌の方でも、極妻の主題歌として話題を呼んだ「抱擁」、ロングセラーを記録した「だってしょうがないじゃない」、大阪弁が聴けるご当地ソング「大阪へヴィーレイン」、野口英世の伝記映画の主題歌となった林哲司作品「愛、とどきますか」、MCを務めたクイズ番組のテーマ「やじろべえ」、最愛の母に捧げたドラマ主題歌「 Mother」、アカペラで歌われた加藤登紀子作品「今あなたにうたいたい」などなど、カラオケの定番曲として愛されたヒット曲も多数。
また、90年代後半からは、さまざまな新進アーティストとコラボした実験作も豊富。森高千里+カールスモーキー石井作でポンキッキーズメロディーとして親しまれた「さあ冒険だ」、同じくカールスモーキー石井が手がけた「夢」、ピチカート・ファイヴの小西康陽の「真夏の夜の 23時」、GO-BANG'Sの森若香織とUAのプロデューサーとしても知られる朝本浩文による「愛の光」など、話題作が満載でした。
これらの背景には、当時のクラブシーンでの再評価といいますか、一連のレア・グルーヴ発掘のムーブメントで、初期アコの一連のナンバーがこぞってもてはやされたことが大きいでしょう。朝本さんや小西さん、コモエスタ八重樫さんといった錚々たるメンツがプロデュースした「DYNAMITE」シリーズがヒットした挙げ句、アコが本家「free soul」シリーズに加わったこともありましたからね。
2001年にはテイチクに移籍。ユニオンレーベルも含め21年まで在籍したようですが、ここには移籍第1弾のカップリング曲「 Everybody Shake」、ファンキーなCMソング「ゴールデンタイム」、デビュー40周年記念シングルにして自身も出演した競艇のCMソング「幸せのちから」、いきものががりの水野良樹作による 50周年記念曲「また明日も歌いましょう」の4曲となっていますが、在籍期間が20年の割にはチト少ない気もしますね。
と、ここまでの選曲は、17年リリースの50周年記念ベストアルバム「THE LEGEND OF SOUL」とほぼ同じ。この時は、ファン投票によって選ばれたシングル10曲、和田アキ子自身がチョイスする3曲、スタッフがお薦めする4曲、そして新曲というバランスの取れた構成でしたので、アコのベストには不動の選曲という感じでしょうか。
今回はユニバーサル移籍後の配信シングル、すなわちTikTokで5億回以上再生を記録した「 YONA YONA DANCE」、ノーナ・リーヴスの西寺郷太+さかいゆうの「黄昏にアンコール」、そして2023年発表のmeiyo+ダンス☆マンのコラボによる最新曲「 KANPAI FUNK」も網羅。
さらには新録の「あの鐘を鳴らすのはあなた 2025 ver.」に、現役シンガーにこだわるアコならではの新曲が 3曲もプラスされるということですから、これまでの周年ベストを持っていても入手したい人は多そう。
なお、ビジュアル重視というのも特長で、 DVDには、アー写やジャケ写の撮影時のメイキング映像や、 Special Studio Liveとしてこの DVDのためだけに歌った「あの鐘を鳴らすのはあなた」「古い日記」「 YONA YONA DANCE」を収録。付属のフォトブックも撮り下ろしということですし、初回プレスの期間限定特典として応募抽選用シリアルナンバー入りチラシも封入(賞品は後日発表)という、オールタイムベストにふさわしい豪華版に仕上がる模様です。
57年というキャリアを考えると 2枚の CDは全然物足りず、 35周年時のシングル・パーフェクトコレクション「 Haaah! 和田アキ子 35周年記念 BOX」や、 25周年の際に出たオリジナルアルバム復刻を含む「 PERFECT COLLECTION」に匹敵する BOXを求めてしまいますが、それは 3年後の 60周年に期待することにしましょうか。
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