ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#1207
黒木真由美/12のらくがき <アナログ盤>
(2024.8.3発売、NAS-2137、¥5,280<税込>)

達郎効果でヴァイナル復刻も実現!

 シティポップに特化したアナログイベントといえば、毎年恒例の「CITY POP on VINYL」。今年は5度目の開催となるそうで、8月3日には各社からエントリーされたヴァイナルが店頭およびネットショップで一斉販売されますが、今回のタイトルで驚いたのは、やっぱ黒木真由美の「 12のらくがき」。
 
 山下達郎御大が初めて楽曲提供をしたアルバムということで評価されてきた1枚ですので、ヴァイナル化もさもありなんという感じではありますが、果たしてアルバムトータルではシティポップといえるのかとおっしゃる御仁も多そう。
 ですが、シティポップ自体に明確な定義や線引きはないようですので、問題はないでしょう。ファンにとっては願ってもないことでしょうし、いいじゃぁないですか!
 
 さて、マミ(という呼び方も定着しませんでしたが…)こと黒木真由美といえば「スター誕生!」出身、キャラクターが際立った期待の大型新人として、1975年3月に鳴り物入りのデビューを飾ったアイドルです。
 
 当時のスタ誕としては、73年に総力を挙げて売り出した花の中3トリオ(森昌子・桜田淳子・山口百恵)の人気が爆発し、アイドル工場としての役割を担うようになったものの、翌74年に送り出した花の末っ娘トリオ(伊藤咲子、石江理世、小林美樹)がコケてしまい、番組的にも救世主となる新しいビッグスターが求められていたんですよね。
 そのタイミングで登場し、大きな期待を集めたのが黒木真由美でした。テレビ予選で見せた野性的で無垢な魅力―純粋でつぶらな瞳、漆黒の色、きつくはねたこわい髪、怯えにも似た羞恥心がのぞく表情など―は実に新鮮で、審査員の先生方もスタッフも、欽ちゃんもお茶の間の視聴者も、誰もが新たなスター誕生を確信していたと思います。
 
 決戦大会では予選のイメージを一新。髪型も衣装も、すっかりアイドルチックに整えられ、インディアンのマスコット人形というコンセプトで固められていましたが、それはそれで魅力的だったんですよね。その証拠にスカウト札は18社から挙がって、審査委員特別賞を受賞。中3トリオ級のスターを望んでいた番組の期待を一身に集め、各社争奪戦の末、キングレコードと小澤音楽事務所の所属となったのでした。
 当時のチビッコ的感覚でいえば、黒木真由美のユニークなキャラクターに惹かれていたように思います。アイドル歌手というよりテレビまんがの主人公的といいますか、ファンシー文具のキャラクターみたいな視点でとらえていた感じです。例えるなら、同時期のアグネス・チャンやリンリン・ランランのよう(大々的に売り出された黒木真由美人形や、そのベースとなったキャラクターイラストは全然可愛くなかったですけど…)。
 
 楽曲は、小林美樹の時のように黒木真由美をベタ褒めした阿久悠先生がイニシアチブを取り、作曲は都倉俊一先生が担当。“昭和50年のアイドル”という大々的なキャッチフレーズのもと、スタ誕きってのゴールデンコンビによるデビュー曲「好奇心」はガンガンにプッシュされ、デビューコーナーで歌う姿を見ても、確実に売れるムードが漂っていました。
 しかし、佳曲ですがキャラクター設定ほどのインパクトがなかった楽曲のせいなのか、グイグイ前に出るタイプではなかったせいなのか、結果はふるわず。同じ決戦大会でグランドチャンピオンになった岩崎宏美(ヒロリンは、芸能界と親和性の高い物怖じしないタイプだったのと、オイルショックで堅実さを求めるようになった時代だったのが功を奏したと思います)に大きく水をあけられ、期待はずれに終わってしまうのです…。
 
 と書いていても悲しくなってしまいますが、今回ヴァイナル化される「12のらくがき」は75年11月リリース、彼女にとって唯一のアルバム。
 A面はシングル集で、デビューシングル「好奇心/十五の素顔」、第2弾「感情線/可愛い反抗」、第3弾「神様お願い/恋はゆらゆら」という阿久+都倉コンビによる三部作6曲を収録。
 一方、B面はアルバムのための書き下ろし。「恋人と呼ばれて」「北極回り」の2曲を山下達郎が作・編曲、あのシュガーベイブや矢野顕子も参加していることから、達郎フリークの間でコレクターズアイテムとして話題となり、2003年にキング純正ではなく、VIVIDのクローン・ユア・メモリーズの1枚として初CD化が実現しております。
 CD復刻されるまではレコードがとんでもないプレミア価格で取り引きされ、今も希少価値があるようですが、今回のヴァイナル化で少しは落ち着くでしょうか。
 
 なお、CDの方は入手困難になっているようですが、2010年に出た初ベスト「黒木真由美 パーフェクト・ベスト」( こちらで紹介)に全曲収録されていますので、CD音源を聴きたい方はそちらをどうぞ。
 
 ちなみに、77年には同じ小澤音楽事務所(アルト企画)のスタ誕不発組・石江理世(ミチヨ)と目黒ひとみ(ヒー)と一緒に、歌って踊れるコーラスグループ、ギャルとして再デビュー。ここでも阿久さんがイニシアチブを取り、「薔薇とピストル」や「マグネット・ジョーに気をつけろ」などの名曲を残しております。
 ギャル関連のCD化は進んでいて、ユニットとしては2010年の「薔薇とピストル~コンプリート・コレクション」( こちらで紹介)で全音源CD化済み。
 マミ以外のメンバーについても、ヒーは「北村優子・目黒ひとみ・しのづかまゆみ/ゴールデン☆ベスト」( こちらで紹介)で、ミチヨは「Myこれ!クション 初CD化アルバム蔵出しチョイス『放課後』」( こちらで紹介、CDでは解説も担当させていただきました)でと、2009年に全音源CD化済みとなっていますが、今となってはいずれも入手困難で結構プレミア価格になっている模様です…。
 
 余談ついでに、ヒーは2021年、金井夕子とも活動しているボーカルユニット・まめしばのkeiZiro(DJやMCでもおなじみ!)とkuro、そして愛娘の栞里の4人で新生ギャル「GAL ReBorn」を結成。ライブを中心に活動を続け、「 マグネット・ジョーに気をつけろ!」のリメイクをはじめ「 Can't Take That Away 」「 未来へ」といった新曲も配信リリースしているとのこと。巷では大きな盛り上がりを見せているようですが、いつの日かマミも加わるといいですよね。
 
 

(2024.5.29)
 
※kuroさんのお名前を間違って記載しており大変失礼いたしました。お詫びして訂正させていただきます。
 なお、GAL ReBornは、6月1日に東京・渋谷シダックスホールで開催された初のホールライブが大盛況。keiZiroさんによると、マミや、ミチヨと交代したアキ(中世古明代)も来られていたそうで、今後への期待が高まりますね!

 
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