筒美京平も認めた日系三世のAOR、10年ぶり再発!
近年のシティポップブームを背景に、各社から復刻盤や再発盤が相次いでおりますが、ソニーミュージックが展開しているのが「 ALDELIGHT CITY POP COLLECTION」シリーズ。
シティポップとして国内外で注目を集めている名盤を対象に、第 1回 10タイトル、 第 2回 8タイトルとバラエティー豊かに廉価リリースされてきましたが、このたび第 3回として登場するのが 11タイトル。
シティミュージックの雄・南佳孝 4作品「
いずれも人気作であり、近年も 2014年から翌 15年にかけ、 Sony Music Shopとタワーレコード限定で販売された「吉田保リマスタリングシリーズ」にラインアップ( こちらや こちらで紹介)されていましたので、レア度は低いですが、名盤ぞろいですので、未所有の方はこの機会にぜひ入手ください。
ということで、ほぼ以前のコピペではありますが、今回は知名度的に低いケン田村にスポットを当てることにいたしましょう!
ケン田村は 1981年2月、シングル「機嫌を直して/ Nothing」とアルバム「 Light Ace」を引っさげ、 CBS・ソニーからシンガー・ソングライターとしてデビュー。
“ウエストコーストからすごい男がやって来た。 ”というセールスコピーに違わず、デビュー盤は本場 LA録音という鳴り物入りの登場でした。
カリフォルニアシャワーという感じのジャケットも素敵ですが、日系三世ならではのアメリカンなルックスや、得意の英語を駆使しつつ、ウエストコーストのカラリとした空気の中に日本人っぽい湿度を残した素直なボーカルは、個性的ではないけれどもスルメ的に魅力的でした。
若き名匠・大村雅朗アレンジで現地のミュージシャンをバッキングしたナンバーは、グルーブ感あふれるシティポップスや AORから哀愁漂うフォーク系まで、いろんなタイプの楽曲を創るメロディーメーカーとしての資質も大いに期待されたものです。
と書いてしまうと、まるで彗星のごとく現れた新人っぽいのですが、実はそのキャリアは古く、先にソングライターとして活動。太田裕美ファンには隠れた名曲として人気の高い 76年の小品「カーテン」( こちらで紹介のアルバム「 12ページの詩集」に収録、ケンは自作詩による「思い出を春に」としてセルフカバー=「 Light Ace」に収録=)の作者として既におなじみでした。
太田さんは昔からライブでもよく歌うほどこの曲がお気に入りで、ケンについて語ることもあったのですが、それが広まって、筒美京平フリークには先生のお弟子さんというか、秘蔵っ子の門下生として知られるようになったんじゃないかと思います。
ちなみにシンガー・ソングライターとしてのケンは太田さんのレーベルメイトとなり、プロデュースには太田さんを担当していた白川隆三さんが関わることになりますからその縁は深いのでした。
もっとも、ケンは 77年に出た筒美先生渾身の野口五郎 NY録音盤「 GORO IN NEWYORK -異邦人 -」( こちらで紹介)でコーラスの英語詞を手がけたらしいですし、 76年のあいざき進也「青春物語」( こちらで紹介の BOXで CD化済み)や 83年の早見優「 LANAI」( こちらで紹介の2 for 1がまだ入手可能の模様)といった筒美先生の力が入ったアルバムに作品提供しているほどですので、確かに秘蔵っ子という感じがします。
そして何よりの証しと言えるのが、3枚目のシングル「わすれておしまい」でしょう。
もちろんケン自作のナンバーで「 Light Ace」からのリカットなのですが、シングルカットにあたり筒美先生が編曲を担当しているのです。
シングル用に楽曲を派手にするのは「木綿のハンカチーフ」のケースを彷彿とさせますが、作曲していない曲のアレンジを担当するというパターンは、大御所となってからの先生としては激レアも激レア。「私鉄沿線」などゴローのお兄さんと並ぶ扱いですから、やっぱりベリースペシャルな存在に間違いありません。
ちなみにこの曲を名曲と推す人は当時から多く(最大の名曲とされるのは、寺尾聰に提供し葵テルヨシやみやじあつしがカバーした「ほんとに久しぶりだね」のようです)、レゲエのドラゴン・ターボや、そのカバーという感じの RYO the SKYWALKERに加え、ケンとデビュー同期の遠藤京子(響子)もリメイクしています。
さて、ケン田村がレコードをリリースした 81年から 82年は、その白川さんが担当した大滝詠一「 A LONG VACATION 」がロングヒットを記録し、ナイアガラを中心に洗練されたシティポップス、それも男性アーティストに注目が集まった時代でした。
初代トライアングルの山下達郎が安定した人気を保ち、2代目に加入したポップスの王道・杉真理やロックの佐野元春もクローズアップされる中、稲垣潤一や村田和人らフォロワーも続々と登場。
そんなミュージックシーンの中で、桑名正博のいたモス・ファミリィ所属のケンは、山本達彦あたりと団子状態という感じでしたが、早く一歩抜け出そうとレコードをコンスタントに発売していたんですよね。
81年には、デビュー作に続いて、第2弾シングル「ムーンライト マジック/ Down in the Eastcoast」と前述の第3弾「わすれておしまい/ L.A Lights」もリリース。
82年7月には、ブルックリンハイツから見た摩天楼という感じのジャケットの通り、イメージは LAから NYへ、鈴木茂&後藤次利のアレンジでアーバンリゾートなシティポップスにシフトしたセカンドアルバム「 FLY BY SUNSET」とリードシングル「 LONG-DISTANCE CALL/ Foot Steps」を発表。
その後「愛に時間を/ふたりなら」というリカットシングルも出すなど、わずか2年でシングル 5枚、アルバム2枚というアイドル並みの展開を見せたのです。
結局いずれも大ヒットには至りませんでしたが、プロモーションのメインターゲットであったサーファーを中心に結構人気がありましたし、岩崎良美の 81年の名盤「 Weather Report 」のオープニングを飾るゴキゲンな提供曲「 Good-day Sunshine」のトリコになって、本人のアルバムを聴くようになったという人も多かったように思います。レコードは売れなかったかもしれませんが、黎紅堂ではかなりレンタルされていた印象がありますから。
リアルタイムで抜けきれなかったものの、ソフトロックやシティポップスの再評価の流れでは一定の人気はあって、ファーストは前述の「吉田保リマスタリングシリーズ」で 2015年に初 CD化。
セカンドは 05年に「 CITY POP名盤復刻」シリーズで既に CD化済みでしたので、今回が 3度目の CD再発となります。
今回は前回の再発を踏襲しているようで、価格据え置きの上、 Light Mellowでおなじみの金澤寿和さんの解説や、別ジャケット( 83年夏に CBS・ソニーの洋邦合同で展開されたウエストコースト系廉価盤シリーズ「 Sailin' Summer '83」にラインアップされた際に変更)も掲載。ファーストにはボーナストラック 3曲(アルバム未収録のシングル「ムーンライト マジック」「わすれておしまい/ L.A Lights」)も入るそうです。
惜しむらくは、ナベサダ親子共演で話題を呼んだ 82年のコカ・コーラの CMソング「イエス ,アイム・イン・ラブ」(渡辺貞夫名義のシングルにボーカルとして参加)が今回も追加されなかったこと※。
また、残念ながらケンは2020年の暮れに逝去されたそうで、再ブームの醍醐味でもあるご本人を巻き込んだ展開が果たせなくなってしまいましたが、今回の再発で再評価が高まり、音源の発掘が進むことを願っております。
なお、このシリーズとしては、栗本斉さんが企画・選曲・解説を担当したシティポップ・コンピ盤の第2弾「
#1250〜
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#1248:工藤静香/Love Paradox
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#1204:桜田淳子/My Dear
#1203:浅田美代子 アルバム配信
#1202:岡田有希子/7インチBOX
#1201:編曲の美学 山川恵津子の仕事
#1200:岡崎友紀/ゴールデン☆ベスト
オススメ復刻盤#1199〜1150
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旧・復刻盤53(#268)以前
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