ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#1215
小泉今日子/Ballad Classicsシリーズ
Ballad Classics (CD:VICL-65990/2LP:VIJL-60341~2)・Ballad ClassicsⅡ(CD:VICL-65991/2LP:VIJL-60343~4)
Ballad ClassicsⅢ(CD:VICL-65992/2LP:VIJL-60345~6)
*2024.9.25発売、CD:各¥3,500<税込>/2LP:各¥5,500<税込>

ツアー対応で、バラードベストのリイシュー&新作!

 なんてったってアイドル。近年はアイドル歌手として活動した過去に責任を持つと公言し、アイドル・小泉今日子としての活動も積極的に行っている小泉今日子さん。
 一昨年、デビュー40周年を迎えた2022年には31年ぶりとなる全国ホールツアー「KKPP(Kyoko Koizumi Pop Party)を、昨年には第2弾となる全国クラブツアー「KKCP 90's(Kyoko Koizumi Club Party 90’s)」を開催。
 コンサバ、トレンド何でもござれという変幻自在のアイドル性と、毛色の違うさまざまなミュージシャンやクリエイターを味方につけた多彩な音楽性のもと、ヒット曲はもとよりやレア曲も満載のステージを披露し、往年のファンのみならず、近年ファンになった人たちをも大いに喜ばせました。
 
 ワタシも、感涙に明け暮れた KKPPに続き、 KKCPにも勇んで出かけたところ、小西康陽さん作の筒美京平リスペクトナンバー「 CDJ」(南沙織「純潔」へのオマージュ)に大感激。バリバリのアイドルシーンでも、トンガッたクラブシーンでも、無理なく主役を張ってきた偉大さを実感し、さすがコイズミさんと膝を打ったことでした。
 
 こうなると次のツアーも楽しみになってまいりますが、今年は80年代のバラードベスト「Ballad Classics」を冠した全国ツアーを10月から行うと発表。
 ホールツアーともクラブツアーとも異なる、また新たな一面を見せるとのことで、ますます期待が高まりますが、このタイミングで「Ballad Classics」シリーズ過去作の再発と、新作の発売がアナウンスされました。しかも、それぞれCD「 Ballad Classics」「 Ballad Classics II 」「 Ballad Classics III」、2枚組LP「 Ballad Classics」「 Ballad Classics II 」「 Ballad Classics III」でのリリースです!
 
 この「Ballad Classics」シリーズのスタートは87年12月。コイズミさんの場合、毎年の年末商戦にビクター発の企画商品としてベスト盤が出されていましたが、コレは従来とは一線を画す内容。
 文字通りバラードに特化したコンセプトベストで、ベストといっても「木枯しに抱かれて」や「The Stardust Memory」は別バージョンで収録され、さらには未発表の新曲「胸いっぱいのYesterday」が収録されるなどスペシャルなアルバムでした(ちなみに、この年のビクター年末商戦向けベストは「CDファイル」シリーズ)。
 当時、一世を風靡していたペーター佐藤さんのオシャレなパステル画ジャケットもスペシャル感たっぷりでしたよね。
 
 このコンセプトとなったのは、オールナイトニッポンでも流れたスタンダード的バラード「One Moon」(当時伊代ちゃんのメインライターだった川村真澄+林哲司作品、このアルバムではWhisper Version)がコイズミさんきっての名曲と評価されたことが根底にあったような記憶があります。
 当時、アイドルの範疇を超え、怖いものナシのアーティストへと成長していたコイズミさんにとって違和感のない選曲ということか、イメチェン前の全くの初期は除外されていますが(最古の曲である「涙のセンターライン」は83年12月の4thアルバム収録曲)、全14曲で個人的にオススメしたいのは、やっぱり筒美京平作品。
 シングルA面では「魔女」「夜明けのMEW」、アルバム曲では「哀愁ボーイ」がセレクトされている中、イチオシはオーダーメイドのB面曲「ヨコハマ・スイート・レイン」です。筒美先生がコイズミさんの最大の魅力としてとらえたであろう、ウィスパー唱法の語尾の余韻がクセになること請け合いです。
 
 それと当時、ビクターでは、ヒットアルバムのインストというかボーカルを抜いたカラオケ版を「Off Vocal Special」としてシリーズ化しており、このアルバムのインスト版「Ballad Classics   Off Vocal Special」も出ていましたので、この際、その音源も加えてほしいと言うファンは多そうです。
 
 続く「Ballad Classics Ⅱ」は、1年おいて89年12月発売。これまたジャケットはアートな粟津潔さんのイラストですが、今回は12曲全曲を新録音しており、続編というには似て非なる企画盤。
 シングルA面曲は「艶姿ナミダ娘」のみですが、この曲を含めオリジナルとは違った解釈も多いのでベスト盤と思って聴くとビックリします。
 
 当時のコイズミさんはハウスミュージックやファンクなどを展開していた時期でもあり、そうした旬のサウンドで焼き直したニューアルバムといえる仕上がり。何せアレンジャーとして起用しているのが、ブレイク前夜の東京スカパラダイスオーケストラを筆頭に、SHI-SHONENを経てFAIRCHILDで活動していた戸田誠司、太田裕美(というか夫君の福岡智彦さん)ファンにはおなじみの近藤達郎とれいちによるウニタ・ミニマ、スティールパン奏者としても知られる鬼才・ヤン冨田、日本のレゲエの先駆的バンド・トマトスという面々ですからね。
 
 このアルバムの代表曲といえるスカパラサウンドによる筒美作品「今をいじめて泣かないで」(作詞は銀色夏生)や、またまた筒美先生がコイズミさんのウィスパーの余韻を追求した「Kiss」などの筒美作品の新解釈も捨てがたいのですが、1曲だけ選ぶとすれば銀色夏生+大沢誉志幸作品の「青い夜の今ここで」。原曲のロッカバラードアレンジ(伊藤銀次編曲)が大好きだったので、初めて聴いたときには違和感の方が買っておりましたが、リピートするだにオリジナルとは違った深みを感じて痺れてしまう1曲です。
 
 そして今回、35年ぶり3作目となる新作「Ballad Classics Ⅲ」。
  最古は87年、銀色夏生+土屋昌巳によるアルバム曲「サーチライト」だと思いますので、中心は90年代以降、2012年の最新オリアルまでの楽曲からセレクト。コイズミさんの愛猫を歌った「小雨の記」をはじめ、自身の作詞曲が多いのが特徴ではないでしょうか。
 シングルA面曲では、藤原ヒロシ・屋敷豪太コンビによる「La La La…」、主演ドラマ主題歌でミリオンヒットとなった鈴木祥子作品「優しい雨」を収録。B面曲では、アニメ「はじめ人間ギャートルズ」のエンドテーマにしてかまやつひろしのカバー「やつらの足音のバラード」、最後の筒美京平作品にして作詞家・小泉今日子とのコラボとなった「ガラスの瓶」なども出色の出来といえるでしょう。
 
 ハナレグミの永積タカシ作品「きのみ」、サニーデイ・サービスの曽我部恵一作品「また逢いましょう」など、フォーキーなサウンドが多いせいもあるでしょうが、前衛的で最先端だった前作に比べると、肩の力が抜けたというか、憑き物が落ちたというか、構えない日常というか、大人の生活を送っている人ならではの余裕が感じられるナンバーばかり。きちんと年を重ねている素敵なコイズミさん、という現在のパブリックイメージが浮かび上がってくる気がします。
 今回のアートなジャケットを手がけたのは、あのエド・ツワキさん。アイドルファンにとってはどうしても知世ちゃんのイメージがつきまとってしまいますが、クラシカルでコイズミさんらしいアートワークといえるのではないでしょうか。
 
 今回CDは3作ともデジパック仕様で、Goh Hotodaさんによるオリジナルマスターからの完全リマスタリング盤。アナログレコードは小鐵徹さんのカッティングによる重量盤2枚組でのリリースとなるそうです。
 また、販売施策として、予約するとクリアファイルがもらえる早期予約キャンペーンが用意されているほか、 Amazon.co.jpではメガジャケ、 タワーレコードやHMV、 楽天ブックスセブンネットショッピングなどではポストカードといった店舗別オリジナル特典も。
 さらにVICTOR ONLINE STOREでは、CD3タイトルを買うと収納BOX「Ballad Classics Trilogy BOX」がもらえるほか、3作品すべての商品形態を購入すると抽選で20名が「個別オンライントーク会」に招待されるとか! ご予約の際は特典をよく吟味するのをお忘れなく。
 
 ちなみにツアーは、バイオリンと管楽器を入れた大人っぽいコンサートになるとのこと。出遅れてしまい、まだチケットを確保できておりませんが、なんとか入手し、新作を含めた三部作を聴いて予習したいと思います。
 
 なお、今や株式会社明後日の代表取締役でもあるコイズミさんですから、主体的でマルチなアーティスト活動のみならず、プロデュースなど裏方的なも精力的。
 中でも今春、演出して話題となった盟友・小林聡美さんのディープな昭和歌謡コンサート「チャッピー小林と東京ツタンカーメンズ」は8月にWOWOWでオンエアされますし、小林さんとは近日放映のNHK-BSプレミアム4K&NHK-BSのドラマ「団地のふたり」でも共演するそうですし、この夏もコイズミさんから目が離せません!
 
 あ、昨年出たドーナツ盤21枚組BOX「ウルトラ・アルティメット・マスターピース・エクセレント・エクスクルーシブ・ベストクオリティ・シュープリーム・パーフェクト・ネバーエンディング・オーサム・ラグジュアリー7inch BOX『Missドーナツ』」( こちらで紹介)もまだ入手可能のようですよ!
 
 

(2024.7.27)
 
 

*2023年の全国クラブツアー「KKCP 90's(Kyoko Koizumi Club Party 90’s)」のSpotify O-EASTでの公演を完全収録したBlu-ray「KKCP 90's~TOUR 2023 Live at Spotify OEAST~」、DVD「KKCP 90's~TOUR 2023 Live at Spotify OEAST~」、CD「KKCP 90's~TOUR 2023 Live at Spotify OEAST~」が2024.10.23発売決定!(2024.8.30)

 
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