ナツメロ喫茶店

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#1203
浅田美代子 アルバム 8タイトル<音楽配信>
「赤い風船」 「美代子のおくりもの」 「わたしの宵待草」 「しあわせの一番星/恋は真珠いろ」 「美代子の新しい世界」 「第一回リサイタル ライブ」「この胸に この髪に」 「美代子のページ」
*2024.5.15配信開始、サブスクリプション型音楽配信サービス&ダウンロード配信

ミヨちゃん50周年、未CD化アルバムを含め一挙配信!

美代子
 フレッシュで可愛くて、ちょっぴりいたずらな“ソニー・エンジェル”といえば…そう、昨年デビュー50周年を迎えた浅田美代子さん。
 “第二の天地真理”を選ぶ2万5千人応募のオーディションを勝ち抜き、かの久世光彦さんが演出したTBS系ドラマ「時間ですよ」で女優デビュー。1973年2月の初登場時は16才であどけなかった“ひーふー美代ちゃん”も、今年の2月15日で68歳を迎えたといいますから、長い長い歳月の移ろいを感じます。
 
 そのバースデイ当日には、親友・清水ミチコさんの進行による50周年記念イベント「浅田美代子 50th Anniversary~清水ミッチャン頼みの50周年~」を東京・有楽町のI'M A SHOWで開催。
 定員400人という小ステージに加え、ミッチャン効果もあってか、チケットは最速の抽選予約から外れる人が続出。先行販売も一般発売も瞬殺で完売し、各メディアで相次いだパブリシティ露出では告知が不要になるなど、スタート前から大きな話題を呼んだのは記憶に新しいところです。
 
 幸運にも最速先行でチケットを入手でき、喜び勇んで参加してまいりましたが、ステージ上のゲストのみならず客席も豪華で、どっちを見ていいのか分からないくらい。まるで一張羅のよそ行きを着てお誕生日会の末席にお呼ばれした時のような気分で、少々緊張しつつも思いっきり楽しんでまいりました。
 お友達や関係者はもとより、一般のファンも、みんなミヨちゃんの人柄を愛する人ばかりだったせいか、奇跡のような演し物があっても始終ほのぼのと、アットホームな雰囲気で進行していきましたが、本編最後とアンコールでは、シンプルかつ豪華なバッキング(富樫春生さん、スティーヴエトウさんらのトリオ)で筒美京平作品のトップ10ヒット3曲(「しあわせの一番星」「赤い風船」「ひとりっ子甘えっ子」)を披露。
 歌手・浅田美代子のファン歴50年のワタシとしては、会場でも映し出された出演ドラマ「時間ですよ」( こちらで紹介)や「寺内貫太郎一家」( こちらで紹介)の映像とともに、リアルタイムで見聴きしていた子供時代の幸せな思い出に包まれながら、感涙にむせんだことでした。
 
 余談ですが、アンコールの「ひとりっ子甘えっ子」は、昨年12月にミヨちゃんがゲスト出演した「小泉今日子のオールナイトニッポンPremium」でもかかった通り、キョンキョンのリクエストだったとか。久世さん(小谷夏名義)作詞ということもあっての要望だったのか、久世さんが残した言葉と音楽を伝える「マイ・ラスト・ソング アンソロジー」( こちらで紹介)をライフワークにしているキョンキョンに感謝したいと思います(昨年出た「 別冊太陽」には「ムー一族」の“下駄屋のともこ”だった夫人とご子息を交えた鼎談もあり、久世ファンは必携ですぞ!)。
 
 当日の模様はスポーツ紙やネットニュースなどでも大きく流れたりして、2021年の筒美京平トリビュート・コンサート以来というか、あの時以上に歌手・浅田美代子にスポットライトが当たったように思いますが、あれから3カ月。
 ようやくアイドル時代(ソニーミュージック=CBS・ソニーのEPICレーベル=在籍時)の音源が配信開始となり、 特設サイトもオープンしました!
 
 ミヨちゃんの音楽配信というと、古くはネット黎明期にソニーミュージックが開設していた音楽配信サイト・bitmusicでダウンロードできた時代もありましたが、配信時代となって以降はラインアップされたベストアルバム(「 GOLDEN☆BEST / 浅田美代子」「 GOLDEN J-POP/THE BEST 浅田美代子」)でさえ、CDから欠落したシングル曲が結構あったりして不完全な状況でした。
 一昨年、各アーティストの大ヒット曲をカップリングしたBESTタッグシリーズに 赤い風船 / しあわせの一番星 BESTタッグ」( こちらで紹介)が加わり、2曲だけではありますがハイレゾも聴けるようになり、多少は溜飲を下げたものですが、やっぱり忸怩たる思いを抱えていたんですよね。
 というのも、ミヨちゃんはCBS・ソニー国内制作部門にとって、真理ちゃん、たくろうに続きオリコン1位を獲得した3人目のアーティスト。ソニーミュージック50余年の歴史の中でも、草創期を代表するビッグネームの1人ですし、売り上げの実績から言っても全アルバムが復刻されても申し分ないと思っておりましたのでね。
 
 というワケで、今回ついに解禁となるのは、73~76年の音源。
 アルバムで言いますと、オリジナルが「 赤い風船」「 美代子のおくりもの ひとりっ子甘えっ子 / 赤い風船」「 オリジナルファーストアルバム わたしの宵待草」「 しあわせの一番星/恋は真珠いろ<美代子と世界の旅>」「 美代子の新しい世界 オリジナル・セカンド・アルバム」「 この胸に この髪に」という6タイトル。ライブが「 第一回リサイタル ライブ」「 美代子のページ」の2タイトル。
 これら8タイトルで、ベストアルバムの配信で削除されていたシングル曲もようやく補完でき、デジタル音源の網羅が実現することになります。
 
 各アルバムを簡単にご紹介しおきますと、まずファーストアルバム「 赤い風船」は、「時間ですよ」の劇中歌としてオリコン5週連続1位という爆発的ヒットを記録したデビュー曲をフィーチャー。シングルの発売からわずか1カ月というスピードでリリースされたもの。
 A面は、デビューシングル「赤い風船/いつかどこかで」を含むオリジナルと邦楽カバーで、「いつかどこかで」を除きすべてが筒美京平作品。久世さんが小谷夏のペンネームで作詞した「愛の花咲かせるために」、同時期に小川みきもレコーディングした「愛のキューピッド」、ミヨちゃんが“目標とする歌手”に挙げていたいしだあゆみのカバー「恋はそよ風」「夢でいいから」と、名曲ぞろいの構成です。
 一方、B面は60年代のオールディーズのカバー。といっても、当時主流になっていたアメリカンポップスよりもヨーロッピアンポップス中心の選曲になっていて、まさに第二の天地真理という感じですが、あどけない歌唱が意外にハマっているんですよね。
 ちなみに、91年にCD選書で初CD化されているため、2004年に立ち上がったオーダーメイドファクトリーの廃盤復刻候補に選ばれたものの達成ならず…という結果でした。
 
 続く「 美代子のおくりもの ひとりっ子甘えっ子 / 赤い風船」は73年9月発売で、前作から3カ月余りというシングル並みのリリースとなったカバー企画。
 第2弾シングルにしてサウンドやハーモニーなど筒美先生が微に入り細に入り練った構成が光る「ひとりっ子甘えっ子」と、再収録となる「赤い風船」をフィーチャー。この2曲のコンセプトである童謡に回帰し、誰もが気軽に口ずさめる童謡や愛唱歌の世界を追求しています。
 A面の童謡は「赤とんぼ」「夕やけこやけ」など、B面の愛唱歌はトワ・エ・モワの「或る日突然」、フォー・セインツの「小さな日記」、中山千夏の「あなたの心に」などギターの弾き語りが似合うカレッジフォークの雰囲気で統一しています。
 しみじみとした郷愁を誘う作品ばかりがチョイスされていることや、叙情的なフォークタッチのアレンジが効果的なこともありますが、それらにぴったりフィットしノスタルジーをかき立てるミヨちゃんの歌唱の素晴らしさよ。
 当時は日本列島改造や核家族化が進み、懐かしい故郷の景色が失われ、家族の絆が薄れていった頃。まさにミヨちゃんが回帰を促した、日本人の心のふるさとそのものと言えるでしょう。
 個人的にも歌の上手さとは技巧や声量だけではないことを証明するかのようなアルバムだと思っておりまして、オリアルではこちらを最もオススメします。
 
 そして73年12月、新人賞レースを総ナメした時期にリリースされたのが「 オリジナルファーストアルバム わたしの宵待草」。 こちらで紹介した通り、OMF2度目のエントリーを経て2016年にCD化済み、タイトル通り全曲オリジナルで構成された初めてのアルバムです。
 ミヨちゃん自身の作詞による2曲を筆頭に、それまでの童謡・唱歌路線を卒業。都倉俊一先生に交代したシングル曲を中心に、サウンド面でもフレンチポップスやカレッジフォークの雰囲気を強調しております。
 オープニングを飾る三木たかし作品の人気曲「北風の日曜日」をはじめ、17才の少女らしい等身大の世界でまとめられていて、いわば同世代向けのアイドルポップスを展開したアルバムといえるでしょう。
 
 続いて74年5月、デビュー1周年記念盤としてリリースされたのが「 しあわせの一番星/恋は真珠いろ<美代子と世界の旅>」。
 アナログ盤A面に相当する6曲は「寺内貫太郎一家」の劇中歌「しあわせの一番星」と、「恋は真珠いろ」という2枚のシングル両面に、林春生+三木たかしコンビによる新曲を加えたオリジナル曲集。
 B面は、「美代子と世界の旅」と題したメドレー企画。イタリア(「雨」)から、ギリシア(「ネバー・オン・サンデー」)、フランス(「アイドルを探せ」)、スペイン(「マルセリーノの歌」)とヨーロッパを周った後、アメリカはハワイ(「パイナップル・プリンセス」)と本土・フロリダのディズニーランド(「ラ・ラ・ルー」)へ。三保敬太郎さんの洒脱なアレンジによって、ミヨちゃんが赤い風船に乗って世界一周する様子が展開されています。
 配信の場合、ビジュアルが伴わないのが残念ですが、「近代映画」73年12月号のグラビア“ミヨちゃんのワールド・フェア”から提供されたミヨちゃん七変化(各国の民族衣装を着用)を見ながら聴きたいものです。
 
 74年9月のフォークアルバム「 美代子の新しい世界 オリジナル・セカンド・アルバム」と、75年12月の歌手廃業宣言の撤回によるカムバックアルバム「 この胸に この髪に」については、2020年にOMFで2枚セットの「美代子の新しい世界/この胸にこの髪に」としてCD化済み( こちらで紹介、解説を担当させていただいております)。よって、そちらをお読みいただくとして、残りの2枚、意外に侮れないライブ盤へとまいりましょう。
 
 まずは74年12月の 第一回リサイタル ライブ」。
 当時の歌手のリサイタルの定石通りといいますか、ミュージカル的な体当たりのお芝居と、歌で綴る2部構成(現在は演歌系のみとなりましたが、同期の百恵ちゃんだって同様の構成でしたよ)です。
 女優・浅田美代子の力量を示したミュージカルも興味深いですが、黄金のアイドル時代を堪能できるヒットパレードが圧巻です。生放送が多かったせいか、ワンハーフでも巻きが入ってせわしなかった歌番組とは違い、テンポものんびり落ち着いて歌っている姿はミヨちゃんの面目躍如。
 今は亡き宮尾すすむさんの名司会に、ファンの思い思いの歓声など、当時の人気ぶりが臨場感たっぷりに録音されています。
 
 そして、今回必聴アルバムとして最もオススメしたいのが、76年2月リリースの「 美代子のページ」。結局はラストアルバムとなってしまいましたが、前年12月の歌手復帰コンサートの実況録音盤です。
 ミヨちゃんを見出しアイドル時代の最後までを共にしたマネージャー・相馬一比古さんプロデュースで、選曲や構成はもちろん、山場の盛り上がりなども含め、歌手・浅田美代子の集大成と呼べる仕上がりなのです。
 相馬さんは、 水曜劇場の役名(相馬ミヨコ)に引用されたこともあり、往年のファンにはおなじみの存在ですが、世界に通用する歌手を育てることが夢だっただけあって、当時のアイドルのコンサートとしてはビックリするほどハイセンスなんですよね。
 
 その相馬さんは、ミヨちゃんの次に手がけたピンク・レディーでその夢を見事実現させるワケですが、このライブ盤はその原型といえるもの。また、77年にPLと同じT&Cへ移籍した南沙織さんも、コンサートは相馬さんが手がけていましたので、そのライブ盤「 SAORI ON STAGE」と併せて聴き比べても相似性は感じられると思います。
 よって、このアルバムはPLやシンシアのファンはもちろん、アイドルフリークの皆さんにもぜひ聴いていただき、僭越ながら相馬さんが遺した功績を皆で称えられたらと思います。
 
 というミヨちゃんの音楽配信。このサイトでは開設以来、全アルバムの復刻をプッシュしてきましたし、ここ20年ほどはBOX「浅田美代子プレミアム」の実現をしつこく訴えておりましたが、チャンスがあってもタイミングが合わなかったり。表には一切出ていませんでしたが、実はゴーサインが出て、あと一歩という所まで来たのに、ご本人の意思やマンパワーの問題があったり。
 結局は頓挫して企画すら風化してしまい、もうすっかり諦めておりましたし、最後の最後に配信という希望が見えても、いろんな事情ですんなりOKにならないこともありましたので、ついぞご縁がなかったものと思いきっていたのですね。
 であるからして、今回のデジタル化実現は、最後の最後に永年の悲願が叶ったといいますか、しみじみしつつもホッとしている次第です。
 加えて、水面下でBOX企画が動き出した際に書いたままお蔵入りしていた解説(OMFの「美代子の新しい世界/この胸にこの髪に」のライナーはココからのアレンジです)も、ご厚意で 特設サイトにアップしていただき、日の目を見ることができましたし(加筆修正はしていますが、あくまでパッケージ用として購入されるコアなファンの方を想定して認めたものですので、マニアック過ぎる点はご容赦ください)、「歌手・浅田美代子」にワタシができることはすべてやり尽くした思いです。
 
 と、すっかり肩の荷が下りた気分でおりますが、これを機に歌手・浅田美代子が正当に評価されれば、このサイトとしても本当にもう思い残すことはありません。
 最後に、サイト開設から25年、ミヨちゃんの全音源のCD化に向けて多大なご協力いただいた美代子ファンの皆さま、配信という形になってしまい申し訳ないという思いもありますが、本当に長い間ありがとうございました!
 
 

(2024.5.15)
Sony Music Shop

 
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