ナツメロ喫茶店

 こころに残るあのうたを、力をくれるそのうたを、ちょこっと綴っておきました。

#65
水の影/シモンズ
(作詩・作曲、松任谷由実/編曲・後藤次利 EP「水の影」1978)

ぼんやりと眺めているうちは
 ずっと同じように見える川の水も、
 実際は絶えることなく流れ去っていて
 それぞれもとの水ではありません。
  

淀み濁った後で気づいても、
見知らぬ岸辺にたどり着いてから慌てても、
その時ではもう取り返しがつかないのに、
なぜあの人たちは気づかないのでしょうか。

 

なぜ声高に叫んだり、あるいは猫なで声の
美辞麗句ばかり並べ立てたりするのでしょうか。

 

 
「時は川
 きのうは岸辺
 人はみなゴンドラに乗り
 いつか離れて
 想い出に手をふるの」

 
 

すべてがいつか離れて手を振るものならば、
どうか多くの人がゴンドラに乗り間違えることなく。

 

そして目に映る景色には、
この美しい国の見慣れた岸辺が千代に八千代にと続きますように。
ただ、そう願ってやみません。

 
 
(2014.12.2)
 

note:「水の影」1978.6.20発売
71年度日本レコード大賞新人賞に輝いたデビュー曲「恋人もいないのに」で知られるシモンズは、ユミちゃんとタエちゃんによる関西系フォークデュオ。アイドル的人気も高かった彼女はデビューから3年後の74年に解散しましたが、77年にティファニーや志穂美悦子にカバーされたことで脚光を浴びた「ふたりだけの結婚式」がきっかけになってか、78年に活動再開。復帰シングルとして発表したのが、毎日放送系のドラマ「幸福の断章」主題歌にしてユーミン書き下ろしのこの曲でした。長らく未CD化でしたが、2013年にやっとCD化されています。
なお、ユーミンは80年のアルバム「時のないホテル」で詩とメロディーの一部を変えてセルフカバー。以来名曲として愛され続け、99年の「シャングリラ」ではクラウンの演奏とともにメンバー紹介で使用されるなど、人気の高い1曲です。