ナツメロ喫茶店/うたノートvol.64


ナツメロ喫茶店

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  こころに残るあのうたを、力をくれるそのうたを、ちょこっと綴っておきました。

vol.64

さよなら夏のリサ/岩崎宏美

(作詩・上杉伸之助/作曲・濱田金吾/編曲・戸塚修 LP「Me too」1988)


8月の終わり。
閉め忘れていたテラスの窓から吹き込む風は、
夕立の後なのに少し乾いた様子で
レースのカーテンをさびしげに揺らしています。

ああ、今年の夏も終わってしまった。

どんなに満ち足りた日々を過ごした後でも
秋の気配は、ひと夏の悔恨とともに忍び寄ります。

けれど、それは苦しく哀しいものなどではなく、甘美で心地好い。
このうたのように、ただ静かに繰り返すだけなのです。



「風に連れもどされてゆく 恋に落ちたさりげない出逢い
 初めての朝そしてずっと ふたりきりの同じ夏の日」



(2014.8.20)


note:LP「Me too」1988.7.21発売
岩崎宏美としてはいったんラストとなったアルバム「Me too」(オリコン最高92位)。阿久悠さんの時代から映画からインスパイアされたタイトルや歌詞が多く、85年にはそのものズバリのコンセプトアルバム「cinema」を出したヒロリンですが、このうたはもちろん84年公開のフランス映画「さよなら夏のリセ」。
85年に南野陽子「さよなら、夏のリセ」や河合その子「さよなら夏のリセ」という楽曲が発表されていたことも関係したのか「リサ」と変えてしまったことでチープな印象がつきまといますが、どっこいハマキンさんの大名曲。ひと頃のコテコテ歌唱法から脱し、肩の力を抜いたヒロリンのボーカルも、毒気を抜いたというか、憑きものが落ちたという感じで、二重マルです。

◎いまCDで聴くなら… Me too +7 (MEG-CD)


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