うたは目に見えない空気のようなもので
レコードやCDなどのパッケージになっていても
形をなすことはなく、その物だけでは
聴くことすらかなわない。
だけどその分、心に深く刻まれたり
逆にうた自体が想い出を孕んだり。
実体がない代わりに自由自在で、
軽々と時空を超えるのは朝飯前。
時には、五感で感じた記憶や
そのディテールの再現などという
おそるべき芸当もやってのける。
確かに生きる上で不可欠なものではないし、
実際、耳をふさいだりする人もいるけれど、
うたのない人生なんて
まったく味気なく、意味がないものにすら思う。
しんとした新春の空を見上げ、耳とこころをすませたら
このうたを聴き、口ずさみ、飽きることなく繰り返し、
はるか遠くへ旅に出たり、また家路を辿ったり、
そうして、こうして、新しい年を生きていく。
当たり前の毎日を重ねられることこそ
実は大変な奇跡なのだと、このうたに教えられながら。
「いつも夢を信じてた
胸に響いてた
歌が聞こえる空へ dreamland」
(2014.1.1)
note:CDS「dreamland」1991.10.23発売
73年のシュガー・ベイブ結成から数えて40年。唯一無二、孤高のアーティスト・大貫妙子さん。ポップで軽やかなこの曲は東芝EMI移籍第1弾シングル。山下達郎の「飛遊人–Human–」に続き、全日空のANA'S EUROPE 飛遊人(ヒューマン)イメージソングに採用され、オリコン最高56位というスマッシュヒットを記録。収録アルバム「DRAWING」はオリコン14位をマークしました。
◎いまCDで聴くなら… ライブラリー