ナツメロ喫茶店

 こころに残るあのうたを、力をくれるそのうたを、ちょこっと綴っておきました。

#69
振子の山羊/大貫妙子
(作詩・大貫妙子/作曲、編曲・坂本龍一 LP「SUNSHOWER」1977)

振子は揺れる 右へ左へ
 

考えることなど 面倒で
ただ言われるままに 流される山羊たち

 

“皆さんこちら 手の鳴る方へ”

 

かどわかされても
疑うことない 哀れな群れは
やがて そちらの生け贄となる

 

 
「山羊はやがて
 風にゆれている
 足もとから
 草におおわれ
 ある日つぶやく木になる」

 

 
振子は揺れる 右へ左へ

 

正しいと言い張れば 嘘も正義
まことしやかに嘯く者に 拍手する山羊たち

 

“皆さんこちら 笛吹く方へ”

 

そそのかされても
信じ切った 愚かな群れは
やがて あちらの捧げ物へと

 

 
「山羊はやがて
 ゴロゴロころがり
 行方知らず
 つかまるまでは
 山羊は その枝を食べた」

 

 
 
振子が止まる その時に
気づいたとしても もう遅い
知らなかったでは すまされない

 
  
(2018.4.20)

note:LP「SUNSHOWER」1977.7.25発売
世界的な70~80年代ジャパニーズ・シティポップスブームが日本に凱旋する中、2017年夏にオンエアされたテレビ東京「YOUは何しに日本へ?」をきっかけに、脚光を浴びた「SUNSHOWER」。シュガーベイブを経てソロデビューしたター坊にとって、初期クラウン時代のセカンドアルバムです。アナログ再発盤が完売したり、アンコールプレスされたりと一気に再評価が高まりましたが、そのアルバムのラストを飾るのがこの異色作。
終末思想というか、何やら予言めいた歌詞と、不吉な不協和音にも聞こえてしまうメロディーとサウンドが黙示録のように思えてならないのです。

◎いまCDで聴くなら… SUNSHOWER