百恵ちゃんが歌う春夏秋冬、四季うたコンピ！

　今春もフジテレビ「FNSうたの春まつり」、TBS「卒業ソング音楽祭」、テレビ東京「あなたの名曲ベスト100」などなど、昭和歌謡を中心に名曲をクローズアップした地上波の特番が目立ちましたが、どんなときもピックアップされるスターといえば、やっぱり百恵ちゃん。
 
　どの局でも、今や卒業ソングとして愛されている「いい日 旅立ち」がピックアップされていましたが、すっかり神格化された扱いを見るにつけ、スタ誕で欽ちゃんの「魚鳥木」や「ドビン・チャビン・ハゲチャビン」をやってた姿は幻ではなかったかと思ったりしております。
 
　さて、引退から37年を経ても愛される様子は、まさに日本の国民的スターだったことの証しですが、それを裏付けるかのように新たなベストアルバムがリリースされることになりました。
　それも“四季折々の山口百恵・名曲選”と銘打った「 GOLDEN☆BEST 山口百恵 日本の四季を歌う 」です！
 
　CBS・ソニー国内制作において、百恵ちゃんこそベスト盤の女王でありますが、GOLDEN☆BESTシリーズだけをとっても「 GOLDEN☆BEST/PLAYBACK MOMOE part2 」「 GOLDEN☆BEST 山口百恵 コンプリート・シングルコレクション(完全生産限定盤) 」「 GOLDEN☆BEST 山口百恵 コンプリート・シングルコレクション 」「 GOLDEN☆BEST orikara 山口百恵 コンプリート・シングルコレクション 」「 GOLDEN☆BEST 山口百恵 アルバム・セレクション 」に続いて６枚目（仕様違い含む）。
　LPベスト盤の焼き直しに、シングルコレクションとそのオリカラ、そしてアルバムセレクションと、これだけでも真のベスト盤の女王であることがお分かりいただけるでしょうが、今回はまさに女王にふさわしい四季のコンセプトベストとなっております。
 
　酒井政利プロデューサーが南沙織で立てた方針にのっとって、CBS・ソニーのアイドルポップスは同世代感と季節感を大切に制作されてきましたから、ソニーのアイドルの代表という意味でもうってつけの企画といえそうですが、今回は春夏秋冬、季節ごとび9曲ずつ選曲された全36曲の２枚組。
　既にハイレゾ化もされている百恵ちゃんのナンバーではありますが、これまでの全アイテムを買っている人にも最新デジタル・リマスターでBlu-spec CD2仕様というのはうれしいポイントではないでしょうか。
 
　また、オールカラーブックレットには、それぞれの季節をイメージさせる山口百恵のアーティスト写真がセレクションされているそうですから、そちらの方も楽しみですよね。
　篠山紀信さんだけが切り撮ることができた百恵ちゃんの蔵出し写真などにも期待したいところです。
 
　選曲の方は、シングル曲は少なくて、B面やアルバム、さらにはオリジナルとはアレンジとボーカルトラックが違うリニューアル盤「百恵回帰」シリーズからもしっかりチョイス。
　「春風のいたずら」「春の奇蹟」「まばたきの夏」などタイトルに四季そのもが入った曲でも漏れている上、ファンからも普段スルーされているようなナンバーも入っているような気がしますので、新鮮な印象ですね。
 
　ちなみに、春は「春爛漫」「愛染橋」「惜春通り」「陽のあたる坂道」「春に吹かれて」「夢先案内人」「ミス・ディオール」「イントロダクション・春」「十五の頃（紅梅集）」。
　夏は「ひと夏の経験」「夏ひらく青春」「自転車の上の彼」「イミテイション・ゴールド」「銀河カフェテラス」「恋のホットライン」「Crazy Love（「百恵回帰II」ヴァージョン）」「プレイバック Part2」「闇の薫り」
 
　秋は「秋桜（「百恵回帰」ヴァージョン）」「落葉の里」「パールカラーにゆれて」「水鏡」「娘たち」「想い出のストロベリーフィールズ」「しなやかに歌って」「水曜日のクオレ」「ささやかな欲望」。
　冬は「冬の色」「昨日までの顔」「白い約束」「オレンジ・ブロッサム・ブルース」「初恋草紙」「口約束」「寒椿」「飛騨の吊り橋」「いい日 旅立ち（「百恵回帰」ヴァージョン）」という順番。
 
　流行歌の場合、モードと同じく季節先取りは当たり前ですから、どうしても発売された時期とリンクしがち。個人的にも新譜を追いかけていためか、その感覚がより強くて、シーズンコンピではしっくりこないことも多いのですが、百恵ちゃんの場合は、特番でもそうでしたが、「いい日 旅立ち」が春うたとして取り上げられているのに違和感を持っております。木枯らしの時期から冬中聴いたうたですのでね。
　その点、今回のコンピではちゃんと冬としてチョイスされているのがウレシイ。
 
　以前から百恵ちゃんの新商品は試金石となる場合が多いのですが、今回のベストも成功して、南沙織、天地真理、浅田美代子、キャンディーズ、太田裕美、松田聖子、南野陽子、河合その子ら、CBS・ソニーに所属したほかの女性アイドルへと続きますように。
　CBS・ソニーほど四季のうたが豊富な女性アイドルはいないと思いますから。