まっちゃん成熟期の集大成、プレミアムBOX第2弾!
昨年、ヤマハのポプコン出場から数え音楽活動35周年を迎え、独立事務所・Kamome Musicも立ち上げた渡辺のまっちゃん。ちょうど去年の今頃、ソニーミュージックのオーダーメイドファクトリーでは初のBOX「Machiko Premium 1975-1982」(こちらで紹介、2011年12月には2度目のアンコールプレスが決定)が実現し、大いなる船出に華を添えたのは記憶に新しいところです。
ますますパワフルに、ますますハートフルに、今のまっちゃんの歌にもシビれてしまいますが、まっちゃんの旧譜アルバムは1度はすべてCD化されていたものの、現在ではほとんどが廃盤という残念な状況ですから、BOXの続編を望む声は多かったんですよね。
前述のBOXのタイトルが当初は「 Machiko Premium vol.1」だったのに、途中で「 Machiko Premium 1975-1982 」へと変更になってしまったもので、熱心なファンの皆さんは危機感を持たれた模様。確かに、OMFでは秒速レベルで達成した1stステージに比べ2ndステージがのんびりだったりして、そういう懸念も発生しそうな状況でしたよね。
インタビューをさせていただいたご縁で、こちらにも「『vol.2』は出ないのですか?」とお問い合わせをいただいたこともありましたが、ワタシも基本的に皆さんと同じファンの立場なもので、その節はお答えできず失礼をいたしました。
しかししかし、そんな皆さんの熱い思いが届いたのでしょう! vol.1はアンコールプレスされるほど人気を得ましたし、待望のオーダーメイドBOX第2弾がついに候補に挙がりました!
それが燦然と輝くまっちゃんプレミアム続編、紙ジャケ、Blu-spec CD仕様による「Machiko Premium 1983-2011 」です!
今回は、まず83年発表、8枚目の原点回帰アルバム「Welcome To Yokosuka」から、紆余曲折を経て90年に発表した12枚目のラテン真知子「TAHIBALI」までを紙ジャケ復刻。「別れのドレス」や「真夜中のハイウェイ」の別バージョンをはじめ、「気になるあいつ/一度だけヒロイン」「哀愁トラベラー」「メソポタミア・ダンス」など、アルバムに対応した年代のアルバム未収録シングル音源は、ボーナストラックとしてバッチリ収録される模様。「一度だけヒロイン」は楽曲自体が待望の初CD化ですので、この1曲を待ちわびてた人も多そうです。
さらには、アルバムに収録されていないシングルおよび未発表曲を含むレア音源集「Collections」と、シングルおよびアルバム曲のセルフ・カバーを集めた「Self Covers」の2枚をプラス。2007年に出た久々のアルバム「鴎30」の収録曲もドーンと大放出してくれるという、なんともまた、まっちゃん同様、太っ腹(決して見かけのことではありませんヨ)で豪快、サービス満点の内容となっています。
「Welcome To Yokosuka」「メリーさんは知らない」「B♭m〜愛することだけすればよかった」は、98年にCD選書化されていたものの、初期モノに比べもともとのプレス数が少なく、あっという間に入手困難になりましたし、「Soi (ソア)」と「TAHIBALI」 はオリジナルリリースと同時に出ただけ。
そういうことで、中古市場では貴重度グンバツ、プレミア付きで取引されていたりして、ファンの方でもCDを持っていない人がおられるほど。ですので、vol.1よりもレアではないかと思っております。
もちろんレアなだけではなくて、内容も充実。
船山基紀さんの手を離れ、バンドサウンドでディープな横須賀を表現した「Welcome To Yokosuka」は、文字通りジモティ・まっちゃんに故郷を案内されるが如く刺激的。ドブ板通りも中華街も顔パスでブイブイ言わせる、港のマチコ・ヨコハマ・ヨコスカってなもんです。
かと思えばメロウで切ないAORの「夕暮れStaition」があったりして、幅と懐の広さをあらためて示した、コンセプトという意味にとどまらないホントの原点回帰作ではないかと思っています。
歌だけでなく活動の幅が広がっていったこともあってか、まっちゃんの表現力は増すばかりで、続く「メリーさんは知らない」もチョー傑作。ループする「あいつがやってくる」や、美しくもやるせない「指定席」、組曲風の「日曜日の夜は」もいいですが、名曲中の名曲なのが、後にシングルカットされる「A・N・T・A」。
忘れもしない翌84年の高2の時。出掛けたコンサートで大感激したのは、ピアノにしなだれかかってこの歌を歌うまっちゃん。それは、生まれて初めてナマで触れた、嗚呼むせび泣くブルースの心というものでありました。
そして、スクエアをバックに従え、グンとお洒落になった「B♭m〜愛することだけすればよかった」。あちこちでよく歌ってた「Off Shoreの風」も良いですが、マイベストはシングル「Espressoでお別れ」。
この歌で初めてエスプレッソを知りましたが(実際に飲んだのは数年後ですけど)、ジャジーなイントロから香り立つ珈琲とお酒の香り。今でも、当時ウインドー越しに憧れていたカフェバーを思い出すほど、大好きな1曲です。
1作ごとに新境地を開いていったまっちゃんですが、全盛期からすればセールスは落ちていたのは事実。シビアな音楽シーンではいろいろとご苦労があったようです。
打ち込みサウンドベースで、ボーカリストの一面をクローズアップさせた「Soi」、CMソングで話題を呼んだ「哀愁トラベラー」と、チャレンジの跡は伺えますが、まっちゃんらしい覇気は見られず、どことなく精彩を欠いているようです。
結局、それが休業、渡米へとつながったようなのですが、後で当時の心境を聞き、その深刻さにビックリしたものですが、同感のファンの皆さんもきっと多かったのではないでしょうか。このへん、太田さんの渡米と重なります…。
でも、それが功を奏したのでしょう。帰国後の90年には、吹っ切れて、前よりもグーンとダイナミックになった「TAHIBALI」を発表。ここからノンジャンル化に拍車がかかり、現在の活動へとつながっているような気がしますね。
CMソングでスマッシュヒットとなったシングル「メソポタミア・ダンス」も話題を呼び、90年代は何でもこなす圧倒的歌唱力のシンガー・まっちゃんが再認識され、人気が再燃するようになっていくのです。
そして近年の精力的な活躍はご存じの通り。
デビュー30周年に突入した2007年には、全曲新録音としては17年ぶりのニューアルバム「鴎30~海からのメッセージ」を発表していますが、今回はバラけて収録されます。
まっちゃんのCDなら全部持ってる!とおっしゃるコアなファンの皆さんは、前回のヤマハ音源集のようなスペシャルディスクをご期待されていることでしょうが、今回それにあたるのが2枚。
「Collections」には、由紀さおりさんのカバーを収録した「生きがい/寒い夏」や、「愛さずにいられない」「悲しみを消さない/出逢い」、最新シングル「いろいろな白」など、シングルでしか聴けなかったナンバーや、ベストアルバムにのみ収録されていた「バラードが聴こえる」、新録を含むスペシャルベスト「大切な順番」や「鴎30」の収録曲、ゲームのテーマ「青空に誓って」や、阿久悠トリビュートの「もしもピアノが弾けたなら」を網羅。なんと未発表曲も入るようで、コレクターの方にはたまらない1枚となってます。
この中でオススメは、レコーディングされたのは「鴎30」ですけど、20周年のライブ盤でフィナーレを飾り、TVでも披露されてきた名曲「歌って歌って恋をして」。いつ聴いても、何度聴いても涙ぐんでしまう作品で、枯れかけた心にみずみずしい泉が湧いてくるような、そんな感じにさせてくれます。年を重ねれば重ねるほど、この歌の良さがわかる…そんな歌なので、もし未聴の人がいらっしゃったら、ぜひ聴いてほしいなと思います。
個人的にはシングル化して、ライブ会場で即売すればかなり売れるハズ…とプッシュしておりますが…。
そしてラストの「Self Covers」は、「迷い道」「かもめが翔んだ日」の2大ヒットを中心に、おなじみの曲をこれでもかと収録。CMでの再シングル化やスペシャルベスト「大切な順番」、そして「鴎30」と、セルフカバーを重ねてきた名曲の変遷が楽しめます。
ああ「海のテーマ」はホント78年の初夏へと連れて行ってくれますね。
と、あのトランペットの音色に、潮騒が聞こえてきたところでペンを置くとしましょう。今度のBOXも、1日も早く実現しますように!皆さま、ご協力のほどよろしくお願いいたします!
(2011.5.30)
*なんと投票開始からわずか5日というスピードで、1stステージをクリア! 2011年9月7日、2ndステージの規定数に到達し、無事復刻が実現しました。
なお、予約受付は2011年9月28日まで延長、発売日は2011年10月20日に決定しました.。ご協力ありがとうございました。
*再プレスの要望が相次ぎ「Machiko Premium 1975-1982」とともに追加生産が決定。2012年10月26日より限定販売がスタートしました。特設ページも開設されています。